都市の気象・気候は、気象学だけでなく、地理・建築・土木・エネルギーなど幅広い分野で研究が行われている横断的学際領域です。一口に都市と言っても、とても多様で複雑です。建物の形状、配置、素材、緑被など様々に異なり、3次元物体の集合体としての地表面は非一様で、人工排熱などの影響も大きいです。そのため、既存の気象学的アプローチで都市地表面の体系化を図るのは、なかなか難儀です。しかし、近年、研究分野の国際的・学際的交流が進み、データ解析・観測・実験・モデリング・数値計算などあらゆる面で、めざましい進展が得られています。この特集では、まだ、教科書などに載ることの少ない最新の気象学的成果が集約されたものであり、都市気象・気候の現状を俯瞰的に理解し、今後の研究の指針を得る一助になることでしょう。
【目次】
- 第1章 観測データからみた日本の都市気候
- 第2章 日本の都市における熱汚染量の経年変化
- 第3章 都市とエネルギー消費
- 第4章 都市と大気汚染
- 第5章 都市におけるフラックス及び乱流観測
- 第6章 都市気象の風洞実験
- 第7章 都市気象の屋外実験
- 第8章 都市の多層モデル
- 第9章 都市気象の単層モデルと領域気象モデル
- 第10章 都市気象のCFDモデル
- 第11章 気象監視業務における都市気象モデル
- 第12章 メソ気象モデルと都市
【編集】神田 学
B5判 296ページ、 2012年2月9日発行
【価格】会員:4,300円、 会員外:6,300円
気象研究ノート編集委員会