大気中の反応性化学組成物質(気体成分・エアロゾル)は、大気汚染や酸性雨の問題だけでなく、最近では放射過程や雲の変質とも関連付けて議論されるようになり、気候変動の観点からも研究が進められつつあります。
このような物質を分析する方法との一つとして、質量分析に基づく技術があります。質量分析は、試料物質をイオン化した上で、イオンの質量を分別し、検出 器で計測するという原理に基づいており、適用範囲が広いこと、また検出感度が 高いことなどの点において他の分析方法よりも優れています。
本書では、このような質量分析技術による気体成分・エアロゾルの測定原理から実際の観測例も含め、最新の情報をもとに詳細な解説がなされています。実際 に質量分析技術を用いて大気組成の研究を行なう研究者のみならず、広く大気環境、気候変動の研究者にとっても極めて有用な一冊になるものと期待されます。
【編集】近藤 豊 123ページ、2005年9月30日発行 【価格】会員:1,600円、会員外:2,400円 (気象研究ノート編集委員会) |