第53回夏季大学
テーマ:降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
日時:2019年8月3日(土)~4日(日)
場所:気象庁講堂(東京都千代田区大手町1-3-4)
定員:100名程度
参加費用:一般5000円 学生3000円
※銀行振り込みになります。
詳細は申し込み後に別途自動メールで連絡致します。
申し込み:★申し込みを締め切らせていただきました。
締め切り:2019年7月26日(金)※申し込み多数の場合は事前に申し込みを締め切らせていただく場合がございます。
講義内容と時間割
今回の夏季大学のテーマは「降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線」です。平成30年2月の北陸地方平野部を中心とした大雪や平成26年2月の関東甲信・東北・北海道地方での大雪・暴風雪等、広範囲に甚大な被害を及ぼす雪害が近年相次いでいます。一方で、気象学に加えて雪氷学分野の研究の発展により、雪崩等の雪氷災害対策への取り組みも推進されています。このような背景から、今回の夏季大学では「雪」をキーワードとして、近年の最先端の研究による科学的知見や降雪・積雪予測を基にした雪氷防災に関する幅広い内容について、専門家の皆様から講義を行っていただく企画にしました。
※講義の題名は変更となる場合があります。要旨は7月上旬に公開します。
※要旨を公開しました。(7月2日追記)
■ 8月3日(土)
10:30~10:35 開講挨拶
10:35~10:50 講師と夏季大学の概要紹介
10:50~12:00
雪に関する防災気象情報の改善 土井内則夫(気象庁)
平成30年(2018年)2月4日から8日にかけて本州付近には強い寒気が流れ込み、福井市では昭和56年(1981年)の豪雪以来の記録的な大雪となりました(37年ぶりに積雪が140 センチを超過)。当時、福井地方気象台では平成30年(2018年)2月6日13時までの前6時間に32cmの降雪量を観測しており、短時間の顕著な降雪量の増加によって市街地の除雪や排雪作業が非常に困難な状況でした。この講義では福井の大雪事例を振り返りながら、北陸地方の気象台で取り組んだ気象情報の改善(顕著な大雪が予測された際の呼びかけ方法)について解説します。
解析積雪深・解析降雪量の概要 石井恭介(気象庁)
令和元年11月から提供開始予定の積雪の深さと降雪量の面的な分布情報である「解析積雪深・解析降雪量」の概要を説明します。
13:00~13:50 吹雪災害と吹雪への備え 丹治和博(日本気象協会)
北海道を中心に積雪寒冷地で度々発生する吹雪について、吹雪による災害とはどのようなものなのか、吹雪はどのようにして発生するのかを解説し、吹雪による災害に巻き込まれないためには、万が一吹雪に巻き込まれた時にはどうすれば良いのかについてお話しします。
14:00~14:50 雪国の防災とまちづくり 上村靖司(長岡技術科学大学)
起きる場所がほぼ雪国に限定され、かつ数カ月に亘って続き、そして非常というより日常の中で散発的に起きるため、災害として認識されにくいのが雪害です。しかし、大雪の年には100名超の死者数を数え、備えのない非雪国を襲えば交通網がマヒするなど、頻繁に深刻な被害をもたらしています。本講義では、過疎化・高齢化が全国平均の10~20年先行する豪雪地帯においてどのような雪害がどの程度の頻度で起き、それらを防ぐためにどんな取り組みがなされているかについて紹介していきます。
■ 8月4日(日)
10:00~10:50 地球温暖化で変わる日本の雪 川瀬宏明(気象庁気象研究所)
近年、地球温暖化の進行に伴い、日本でも積雪の減少が指摘されています。気候モデルを用いた気候変動予測実験によると、将来、本州では更なる積雪の減少が予測されています。一方で、北陸地方の山沿いや北海道では、極端に強い降雪、いわゆるドカ雪の増加が同時に予測されています。本講義では、最新の気候変動予測研究から見えてきた日本の雪の将来変化をお話しします。
11:00~11:50 日本各地に大雪をもたらす大気循環場の特徴 本田明治(新潟大学)
地球温暖化が進む中でも、毎冬のように日本各地で大雪に見舞われており、また冬毎に雪の降り方には特徴がみられます。最近では2017/18年の冬は全国的に寒冬・大雪となりましたが、特に本州日本海側の海岸平野部でしばしば降雪が集中し、福井、金沢、新潟など県庁所在地で記録的な大雪となりました。2013/14年冬は太平洋側で大雪傾向で、特に14年2月中旬の南岸低気圧による降雪では甲府で最深積雪が114センチに達するなど関東甲信地方を中心に前例にないような大雪となりました。大雪になるには必ずいくつかの要因があり、それは大気循環場の振る舞いにもよく表れています。当日はいくつかの大雪事例を取り上げて、大雪をもたらす大気循環場の振る舞いを詳しくみていきたいと思います。
13:00~13:50 雪崩発生のメカニズムと予測の試み 中村一樹(防災科学技術研究所)
防災科学技術研究所では、表層雪崩や全層雪崩のメカニズムの解析や予測手法の開発に関わる研究に取り組んでいます。雪崩は豪雪地帯の日本海側だけではなく、条件によっては、豪雪地帯ではない太平洋側でも発生します。最近の雪崩事例を取り上げ、その雪崩のメカニズムや雪崩危険度の予測の試みなど、最新の研究成果を紹介します。
14:00~14:50 学習到達度試験(クイズ形式) 南利幸(気象予報士)
14:50~14:55 閉講挨拶
■ これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ
第55回 2021年8月21・22日 海洋と日本の気象・気候~観測から予測まで~
第54回 2020年8月22・23日 雲の科学
第53回 2019年8月3・4日 降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
第52回 2018年8月4・5日 浸水・洪水予測と気象防災の最前線
第51回 2017年7月29・30日 新世代の衛星が切り開く新しい気象の世界
第50回 2016年7月30・31日 エルニーニョ現象と異常気象
第49回 2015年8月1・2日 地球温暖化入門
第48回 2014年8月2・3日 ザ・竜巻
第47回 2013年7月27・28日 台風学の最前線
第46回 2012年8月5・6日 北極温暖化と異常気象
第45回 2011年8月6・7日 気象観測技術の最前線(2)
第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線
第43回 2009年8月1・2日 顕著現象の解析
第42回 2008年8月2・3日 気象のシミュレーションⅢ
第41回 2007年8月4・5日 気象のシミュレーションⅡ
第40回 2006年8月5・6日 気象のシミュレーション
過去の夏季大学 開催一覧(PDF)