公開気象講演会2023

公開気象講演会

一般市民の方々に気象に関する最近の研究成果を分かりやすく解説することを目的として、公開講演会を開催しています。


2023年公開気象講演会『日本海側の大雪とJPCZ』

2023年度もオンラインで公開気象講演会を開催します.気象学会員でなくても参加できますので,お知り合いの方々をお誘いの上,多数,ご参加いただきますようお願い申し上げます.

日時: 2023年11月19日(日)14:00~17:00
開催形式:オンライン 
主催: 日本気象学会 教育と普及委員会
後援: 一般社団法人日本気象予報士会
参加費: 無料
定員:300名(先着順)
申込み:終了しました
申込み締切:2023年11月13日(月)(ただし定員になり次第締切)
問合せ先:日本気象学会 教育と普及委員会 msj-ed_2023[at]metsoc.jp([at]は@にしてください)

 今回のテーマは,「大雪」です. 2018年2月の福井豪雪,2020年12月や2022年12月の新潟県の豪雪等,北陸地方を中心に記録的な大雪がしばしば発生しています.その原因の一つとみられるのが「日本海寒帯気団収束帯」(JPCZ)という現象です.局地的な大雪は物流などを通して,社会的な大混乱をもたらします.
 今回の講演会ではJPCZの観測を通じたメカニズムや予測,大雪に対する対策や情報提供について,専門家の方々に詳しく解説していただきます.

1. JPCZの謎を追う! – 最強寒波直下の大気海洋船舶観測 –  立花 義裕(三重大学)
 世界の居住可能地域の中で一番雪が多い場所は日本です.それは日本海の対馬暖流がこの緯度帯では世界第一級の暖かい海流であり,日本海は北極寒気が世界で最も南に移動する場所で,そこにJPCZが発生するからなのです.我々は,2022年と2023年にJPCZを狙って船舶からの大気海洋同時観測を行いました.観測で解明されたことを,特に史上最強寒波の中で発生したJPCZを中心に解説します.温暖化時代にも拘わらず大雪が頻発する理由にも迫ります.

2. 大雪時の道路マネジメントと社員のスキルアップについて  梅木 秀郎(東日本高速道路株式会社)
 ここ数年、大雪時において高速道路や一般道での車両滞留事象が発生していますが、これらの経験を踏まえ、高速道路と一般道の同時通行止めなどの措置がとられるようになりましたが、その実施状況や今後の課題などを紹介します。また、民間の気象予報会社から提供される道路気象予報サービスの課題や高速道路会社内での気象に関する社員研修、スキルアップに向けた取り組みなどを紹介します。

3. 大雪に対する気象庁の情報発信  中村 直治(気象庁)
 積雪深計による観測が行われていない地域を含めた積雪・降雪の解析・予測を面的な情報として把握でき、雪による交通への影響を前もって判断すること等に活用いただくため、気象庁HPでは「今後の雪」を提供しています。また、2018年の福井県での大雪を踏まえて、北陸地方などでは短時間で大雪になるような場合に「顕著な大雪に関する気象情報」を発表しています。気象庁が行っている大雪に関する情報発信について説明いたします。

4. 死者ゼロは不可能か – 平成30年福井豪雪で感じた情報が伝わることの難しさ –  二村 千津子(NHK福井放送局)
 平成30年2月、記録的な大雪に見舞われた福井県。何日も解消されない立ち往生。後を絶たない除雪中の死亡事故。気象キャスターとしてどのように伝えれば、その危険を「自分のこと」として捉えてもらえるのか、心が折れそうになった約3週間でした。講演では、気象台からどのような情報が入り、どのように伝えたのか時系列に沿って、当時の自分の気持ちも織り交ぜながら、お話しするとともに、死亡事故をゼロにするための課題もお伝えします。

5. パネルディスカッション・司会 岩谷 忠幸(オフィス気象キャスター株式会社)
 講演された立花義裕さん、梅木秀郎さん、中村直治さん、二村千津子さんにご登壇いただき、視聴者の皆様からの疑問、質問や要望等を踏まえて、議論を行います。


□ 過去の公開気象講演会

2022年 「線状降水帯のことを詳しく知りたい」
2021年 「命を守る身近な気象情報」
2019年 「新元号を迎えて~平成の30年間を振り返り、新時代の気象災害に備える~」
2018年 「台風の強度~台風災害の軽減に向けた航空機観測~」
2017年 「「大雨災害」に備える」
2016年 「台風災害 ~台風列島でどう生き延びるのか?~」
2015年 「気象情報のビッグデータ時代の幕開け」
2014年 「局地風の世界」
2013年 「将来の再生可能エネルギーと気象」
2012年 「地球温暖化問題における科学者の社会的役割」
2011年 「航空安全のための気象学」
2010年 「防災情報の活かし方を考える」
2009年 「数値予報の過去・現在・未来~数値予報現業運用開始50周年記念~」
2008年 「地球温暖化とその対策 ~ノーベル平和賞と横浜市~」
2007年 「災害をもたらす気象~大雨・竜巻・台風~」