研究会「長期予報と大気大循環」(2015年12月2日開催)

 今年のテーマは「多様なENSOと多様な影響 ~エルニーニョ現象の日本の天候への影響と予測可能性~」です.2014年夏に発生したエルニーニョ現象は2015年7月現在も継続しており,2015/2016年冬にかけて続く可能性が高いことが予測されています(2015年8月10日気象庁発表エルニーニョ監視速報).2014年の世界の年平均気温は,1891年以降で最も高い値となり,今年も高い状態が続いています。この要因として,地球温暖化に加え,エルニーニョ現象がもたらす大気への影響も考えられます.このような状況の下,今回のエルニーニョ現象が日本や世界の天候へ与える影響は,これまでの統計的関係のみでは説明が困難になってきています.また,太平洋十年規模変動とENSOの関係やエルニーニョもどきといったENSOの多様性について近年盛んに議論されており,その予測可能性や日本の天候に与える影響などについて研究が進んでいます.
 本年の研究会では,2014年から続くエルニーニョ現象の経過と予測について振り返るとともに,多様なENSOが日本の天候に及ぼす影響のメカニズムに注目して議論しました。

     記

日時 :2015年12月2日(水)14時00分~18時00分
場所 :気象庁3号庁舎2階 3023会議室
テーマ:多様なENSOと多様な影響 
     ~エルニーニョ現象の日本の天候への影響と予測可能性~   

プログラム(PDF

座長:前田 修平(気象研究所気候研究部)

1. 2014~15年のエルニーニョ現象とその影響(拡張要旨
※安田 珠幾(気象庁気候情報課)

2.  エルニーニョ現象発生時における夏の大気循環場の統計的特徴(拡張要旨
※竹村 和人(気象庁気候情報課)

3. 過去117年間のPJパターンの復元と数十年規模で変動する関係(拡張要旨
※久保田 尚之1・小坂 優2・謝 尚平3                      (1海洋研究開発機構、2東大先端科学技術研究センター、3カリフォルニア大学スクリプス海洋研究所)

4. PJパターンの卓越性の長期変調とENSOの関係について(拡張要旨
※町村 輔・中村 尚・小坂 優・西井 和晃・宮坂 貴文(東大先端科学技術研究センター)

5. アジアモンスーン変動におけるインド洋と太平洋の増幅・相殺効果(拡張要旨
※植田 宏昭1・井上 知栄2・釜江 陽一1・早崎 将光3・鬼頭 昭雄1                                          1筑波大学、2海洋研究開発機構、3国立環境研究所)

座長:高谷 祐平(気象庁気候情報課)

6. 夏季インド洋-北西太平洋結合モードとエルニーニョ衰退後の異常気象(拡張要旨
※小坂 優(東大先端科学技術研究センター)

7. 2014年エルニーニョの不発、および近年の東太平洋海面水温の低温化等における北半球夏季南北循環の役割(拡張要旨
※小寺 邦彦(名大宇宙地球環境研究所、三重大・生物資源)

8. 多様なENSOと東アジアの冬季モンスーン(拡張要旨
※尾瀬 智昭(気象研究所気候研究部)

9. 熱帯対流活動変動に伴う冬季北太平洋域への遠隔影響(拡張要旨
※関澤 偲温・小坂 優・中村 尚・西井 和晃・宮坂 貴文(東大先端科学技術研究センター)

10. 気象庁季節予報システム JMA/MRI-CPS2(拡張要旨
※高谷 祐平(気象庁気候情報課)

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