2017年公開気象講演会『「大雨災害」に備える』
日時: 2017年5月28日(日) 13:30~17:00
場所: 国立オリンピック記念青少年総合センター(大会A会場)
主催: 日本気象学会 教育と普及委員会
後援: 一般社団法人日本気象予報士会
参加費: 無料
参加登録: 公開気象講演会のみに参加される方は、こちらの参加登録フォームから事前登録をお願い致します(登録は締め切りました)。春季大会に登録されている方は、公開気象講演会の事前参加登録は不要です。
今回は,「大雨災害」をテーマとして取り上げます.毎年,日本各地で大雨が発生し,土砂崩れ,河川のはん濫,家屋の床上・床下浸水などの甚大な災害がもたらされています.近年では,平成26年8月の広島県での大雨や平成27年9月関東・東北豪雨などがあり,多くの尊い命が失われました.今回の講演会では,「大雨」の気象学的な理解を深めるとともに,「大雨」に対する防災・減災に焦点を当てます.防災・減災については,防災気象情報の出し手,伝え手,受け手のそれぞれの立場から,さまざまなご経験やご意見などを紹介して頂きます.奮ってご参加くださいますようお願いいたします.
1.積乱雲の発生・組織化と大雨の発生メカニズム 加藤 輝之(気象庁観測部)
2.気象庁が発表する大雨に関する防災気象情報 髙橋 賢一(気象庁予報部)
3.テレビと防災情報 木原 実(気象予報士/防災士)
4.市町村の防災気象情報を活用した防災・減災対応 出水田 正志(龍ケ崎市役所)
5.パネルディスカッション 司会:津口 裕茂(気象庁 気象研究所)
■ 講演要旨
1.積乱雲の発生・組織化と大雨の発生メカニズム 加藤 輝之(気象庁観測部)
大気状態が不安定なときに複数の積乱雲が繰り返し発生し、連結して組織化することで大雨はもたらされます。本講演ではまず、不安定な大気状態とはどういったものなのか、その不安定の中でどのように積乱雲が発生・発達するのかをわかりやすく説明します。また、土砂災害などを引き起こす”集中豪雨”や都市部を中心に内水氾濫をもたらす”ゲリラ豪雨”とも呼ばれる“局地的大雨”について、過去の実例を挙げて、その形状や発生メカニズムも踏まえて解説します。
2.気象庁が発表する大雨に関する防災気象情報 髙橋 賢一(気象庁予報部)
気象庁が発表する防災気象情報について、大雨に焦点を当てて、どの様な情報を段階的に発表しているか、またその情報をどの様に活用して欲しいと考えているか、出し手側の思いを紹介します。また、今年度の出水期に予定している改善についても簡単に紹介します。
3.テレビと防災情報 木原 実(気象予報士/防災士)
インターネットの普及とともに携帯電話の機能も劇的に進化し、もはや人類の第二の脳ともいえるスキルを持つものもあらわれています。また、パソコンやタブレットでも防災情報をいつでも簡単に確認できる時代になりました。そんな時代にテレビの地上波は相変わらず同じ時刻に同じキャスターが天気予報や防災情報を伝え続けています。今の時代にこの制約の多いテレビの地上波での防災情報の伝え方を考えます。
4.市町村の防災気象情報を活用した防災・減災対応 出水田 正志(龍ケ崎市役所)
龍ケ崎市において最近5年間の特性ある風水害対応を教訓に、市町村の責務である住民の生命、身体を災害から保護するかを具現してまいりました。また、気象庁の気象予報士派遣モデル事業により、防災担当職員は気象庁から発表される防災気象情報を理解する能力が飛躍的に向上しました。これらを踏まえ、当市において防災気象情報等(インフォメーション)を災害発生予想(インテリジェンス)に分析検討し、更なる防災・減災対応としていかに具現していくかその方向性ついて紹介していきます。
□ 過去の公開気象講演会
2021年 「命を守る身近な気象情報」
2019年 「新元号を迎えて~平成の30年間を振り返り、新時代の気象災害に備える~」
2018年 「台風の強度~台風災害の軽減に向けた航空機観測~」
2017年 「「大雨災害」に備える」
2016年 「台風災害 ~台風列島でどう生き延びるのか?~」
2015年 「気象情報のビッグデータ時代の幕開け」
2014年 「局地風の世界」
2013年 「将来の再生可能エネルギーと気象」
2012年 「地球温暖化問題における科学者の社会的役割」
2011年 「航空安全のための気象学」
2010年 「防災情報の活かし方を考える」
2009年 「数値予報の過去・現在・未来~数値予報現業運用開始50周年記念~」
2008年 「地球温暖化とその対策 ~ノーベル平和賞と横浜市~」
2007年 「災害をもたらす気象~大雨・竜巻・台風~」