夏季大学

夏季大学

日本気象学会教育と普及委員会は,最新の気象学の知識の普及を目的として,学生・大学院生,小・中・高等学校の教諭,気象予報士及び気象に興味を持っている一般の方々を対象に,毎年夏休みの時期にやや専門性の高い講座である「夏季大学」を開講しています.今年は気象庁講堂とオンラインでのハイブリッド開催となります.現地では各講義のあと,ご自身の言葉で講師に質問することが可能です.また,講師は全員現地参加(予定)ですので,講演後に講師に直接追加の質問をしていただくこともできます.皆さまのご参加をお待ちしております.


第58回夏季大学

テーマ:高温・熱波poster2024

日時:2024年7月27日(土)10:00~16:15、28日(日)10:00~16:15
開催形態:気象庁講堂(東京都港区虎ノ門3-6-9)とオンラインのハイブリッド開催.
主催:日本気象学会 教育と普及委員会
後援(予定):気象庁、日本地学教育学会、(一財)気象業務支援センター、(一社)日本気象予報士会
定員:50名(気象庁講堂)、200名(オンライン)先着
参加費用(消費税含む):2500円 (現地参加・オンラインともに同額です)
参加費用のお振込み方法(予定):オンライン決済(クレジット決済、銀行振り込み等)または郵便振替
申し込みこちらからお申し込みください。
締め切り:7月19日(郵便振替)、7月24日(クレジット決済)※定員に達し次第終了

ポスター(PDF)

注意事項

    • 申し込みを行い、参加費を支払われた方にZoomのURLをメールでお知らせします。
    • 申し込み後、メールが届かない場合には、夏季大学事務局までお知らせください。URLなどの案内が届かない可能性があります。
    • お振込み方法の詳細は、参加登録後にご連絡いたします。オンライン決済を選択された場合、数日以内にお振込の情報をご連絡いたします。
    • オンライン決済にはぽちPAYを利用したクレジット決済が可能となる予定です。
    • 特定商取引法に基づく表記についてはこちらをご参照ください。
    • 定員になり次第締め切らせていただきますのでご了承ください。
    • 現地では、各講義のあとに、ご自身の言葉で講師に質問することが可能です。また、講師は全員現地参加予定ですので、講演後に講師に直接追加の質問をしていただくこともできます

■ 趣旨

今回の夏季大学のテーマは「高温・熱波」です.2023年は世界全体で気温が高く,観測史上1位の記録を大幅に更新しました.「地球沸騰化」という用語が生まれたほどです.日本でも観測史上もっとも気温の高い年,暑夏となりました.近年の夏の猛暑には地球温暖化の寄与も指摘されています.このような背景から,環境省は2024年から熱中症特別警戒アラートの発表を開始しました.今回の夏季大学では,熱中症特別警戒アラートの詳細や高温等の異常気象をもたらす大気の流れ,近年の高温に対する地球温暖化の寄与や将来予測,局地的高温をもたらすフェーン現象やヒートアイランド,そして高温による健康影響まで幅広い話題を用意しました.参加者の皆様が,高温・熱波に関して最新の知見を身につける機会となれば幸いです.

■ 講義プログラム ※講義題目、発表順、発表時間は今後変更になる可能性があります。

◇2024年7月27日(土)10:00~16:15

  • 10:05-11:05「異常気象分析検討会の概要と活動内容について」 竹村和人(気象庁)
    •  気象庁では平成19年より「異常気象分析検討会」を運営しています。本検討会は、平成18年豪雪のような社会経済に大きな影響を与える異常気象が発生した場合に、大学・研究機関等の専門家の協力を得て、異常気象に関する最新の科学的知見に基づく分析検討を行い、その発生要因等に関する見解を迅速に公表することを目的としています。この講義では、本検討会の概要やこれまでの異常気象分析の成果を含む活動内容について紹介します。
  • 11:15-12:15「日本に異常高温をもたらす夏季の大規模な大気循環変動」  小坂優(東京大学)
    •  地球大気には数千〜数万kmに渡って天候が連動して変動するテレコネクションという現象があります。それをもたらすのは大気循環の大規模に組織化された変動で、広い範囲に渡って持続的な異常天候をもたらす重要な要因であるとともに、季節予報の根拠ももたらします。日本の夏季の天候に重要な影響をもたらすテレコネクションには3つの「経路」があります。本講義ではそれらの概観とメカニズムを、最新の知見を交えて解説します。
  • 13:30-14:30「日本の極端高温と気候変動」  今田由紀子(東京大学)
    •  地球温暖化の進行とともに日本で発生する極端高温も増加することが予想されますが、どの程度深刻な状況が待っているのでしょうか。気候モデルによる最新の大規模アンサンブルシミュレーションの解析結果から、過去から将来の日本の極端高温の変化傾向が見えてきました。本講義では、日本で発生する異常気象に地球規模の気候変動がどのように影響を与えているかを分かりやすく解説します。
  • 14:40-15:40「熱中症特別警戒アラートの運用開始等」  鎌田晃如(環境省)
    •  近年、熱中症による救急搬送人員は毎年数万人を超え、死亡者数は5年移動平均で1,000 人を超える高い水準で推移しています。地球温暖化の進行を考慮すれば、今後、熱中症による被害が更に拡大するおそれもあることから、令和6年度から新たに、熱中症特別警戒アラートの運用を開始する等の措置を進めています。本日はこれらの概要を紹介します。
  • 15:50-16:15 学習習得チェック1 

◇7月28日(日)10:00~16:15

  • 10:00-11:00「海洋熱波」  美山透(海洋研究開発機構)
    •  近年、極端な高水温が世界中の海洋で頻繁に発生するようになり、「海洋熱波」という言葉が使われるようになりました。海洋熱波は、海洋生態系や水産資源にダメージを与え、気象にも影響を及ぼします。海の温暖化の現状とその見通しについて紹介します。
  • 11:10-12:10「地域気候シミュレーションで見えてきた将来の高温予測」  伊東瑠衣(海洋研究開発機構)
    •  地球規模で進行する温暖化の下、温暖化の影響は日本国内でも一様に現れるわけではなく、様々な要因によって地域差を示します。記録的な高温がすでに頻発する今、私の地域、あなたの地域の気温は、この先どのような地域差をもって上昇するのでしょうか。日本周辺を5kmメッシュの格子に分割して実施された地域スケールでの気候予測実験の結果で見えてきた日本の極端な高温の将来像を紹介します。
  • 13:30-14:30「日本における局地的な高温(猛暑・熱帯夜)のメカニズム」  髙根雄也(産業技術総合研究所)
    •  近年では、国内でも日中に40℃を超えるような極端な高温が観測されるようになりました。また、夜間に25℃を上回る熱帯夜も場所によっては常態化しています。このような日中と夜間の高温の原因は何でしょうか?また、高温が発生しやすい場所や今後発生する可能性が高い場所はあるのでしょうか?本講義では、このような疑問に答えるために実施されてきた研究の内容を、できるだけわかりやすく紹介します。
  • 14:40-15:40「高温や熱波が直接的に人間健康に及ぼす影響」  井原智彦(東京大学)
    •  近年多発している高温や熱波は、直接的にも間接的にも人間健康に大きな影響をもたらします。本講義では、そのうち熱中症を始めとするさまざまな直接的な影響に着目し、暑熱が人間健康への影響に至るメカニズムを概説します。また、日本における影響の実態、そして可能な限り対策についても紹介する予定です。
  • 15:50-16:15 学習習得チェック2 

オンライン講義受講方法
オンライン講義はZoomウェビナーを利用します。受講にはZoomウェビナーを利用可能な環境が必要となりますので、事前の準備をお願いします。開催アドレスは参加登録いただいた方に個別にご連絡いたします。

過去の夏季大学の様子


■ これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ
第57回 2023年8月5・6日 新しい気象学2023
第56回 2022年8月6・7日 気候変動とその影響
第55回 2021年8月21・22日 海洋と日本の気象・気候~観測から予測まで~
第54回 2020年8月22・23日 雲の科学
第53回 2019年8月3・4日 降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
第52回 2018年8月4・5日 浸水・洪水予測と気象防災の最前線
第51回 2017年7月29・30日 新世代の衛星が切り開く新しい気象の世界
第50回 2016年7月30・31日 エルニーニョ現象と異常気象
第49回 2015年8月1・2日 地球温暖化入門
第48回 2014年8月2・3日 ザ・竜巻
第47回 2013年7月27・28日 台風学の最前線
第46回 2012年8月5・6日 北極温暖化と異常気象
第45回 2011年8月6・7日 気象観測技術の最前線(2)
第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線
第43回 2009年8月1・2日 顕著現象の解析
第42回 2008年8月2・3日 気象のシミュレーションⅢ
第41回 2007年8月4・5日 気象のシミュレーションⅡ
第40回 2006年8月5・6日 気象のシミュレーション
過去の夏季大学 開催一覧(PDF)