第45回夏季大学
テーマ:気象観測技術の最前線(2)
日時:2011年8月6日(土)~7日(日)
場所:筑波大学計算科学研究センター(茨城県つくば市)
■ 8月6日(土)
10:00~11:30 地上観測 近藤 純正(東北大学名誉教授)
地上観測の意義と、測器の基本的な原理を学ぶ。温度とは温度計の温度、 風速とは風速計の回転数であり、それらは真の温度や風速を表すわけではない。気象資料に限らず、情報はうのみにせず、各種の情報間に矛盾がないか、物理法則に反していないか、吟味して利用することを心がけたい。
11:30~13:00 気象庁の地上気象観測測器 川村 裕志(気象庁観測部観測課 気象測器検定試験センター)
全国62の気象官署及び94の特別地域気象観測所で、実際に使用されている気圧計、温度計、湿度計、風向風速計、雨量計などの観測機器について、 原理や特徴を含めて解説します。また、保守点検についても紹介します。
14:00~15:30 降水・雷・竜巻発生確度ナウキャスト 瀧下 洋一(気象庁予報部予報課)
気象庁では、降水、雷、突風を対象とする3種類のナウキャストを提供しています。ナウキャストとは、現在の観測(解析)と1時間先までの予測を高頻度(5分または10分毎)で即時的に提供する予報です。この講演では、気象ドップラーレーダーによるドップラー速度観測や3次元エコー強度観測、雷監視システムによる雷放電の観測など、各種データの高度利用例として、最新のナウキャスト作成技術について紹介します。
15:30~17:00 GPSによる大気計測とデータ同化 小司 禎教(気象研究所)
米国のGPS等、衛星による全地球測位システムは、車や携帯電話のナビゲーション等で日常生活にも浸透している。GPSによる位置計測に誤差をもたらす水蒸気の量を、GPSの観測データから解析し、気象学や天気予報への利用を目指す「GPS 気象学」と呼ばれる研究分野が、日本でも1990年代半ばから取り組まれ、その成果は気象庁の数値予報初期値解析に利用されている。ここでは、気象センサーとして見た場合の精密衛星測位システムの特質と、同化による数値予報への利用について紹介する。
■ 8月7日(日)
10:00~11:30 JAXAの地球観測衛星による雲・雨観測の現状と将来計画 沖 理子(JAXA)
11:30~12:30 筑波大学ギャラリー・スパコン(T2K-Tsukuba)見学
13:30~15:00 JAXA見学
■ これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ
第55回 2021年8月21・22日 海洋と日本の気象・気候~観測から予測まで~
第54回 2020年8月22・23日 雲の科学
第53回 2019年8月3・4日 降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
第52回 2018年8月4・5日 浸水・洪水予測と気象防災の最前線
第51回 2017年7月29・30日 新世代の衛星が切り開く新しい気象の世界
第50回 2016年7月30・31日 エルニーニョ現象と異常気象
第49回 2015年8月1・2日 地球温暖化入門
第48回 2014年8月2・3日 ザ・竜巻
第47回 2013年7月27・28日 台風学の最前線
第46回 2012年8月5・6日 北極温暖化と異常気象
第45回 2011年8月6・7日 気象観測技術の最前線(2)
第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線
第43回 2009年8月1・2日 顕著現象の解析
第42回 2008年8月2・3日 気象のシミュレーションⅢ
第41回 2007年8月4・5日 気象のシミュレーションⅡ
第40回 2006年8月5・6日 気象のシミュレーション
過去の夏季大学 開催一覧(PDF)