第56回夏季大学
日時:2022年8月6日(土)10:00~16:00、7日(日)10:00~16:00
開催形態:オンライン開催
主催:日本気象学会 教育と普及委員会
後援:気象庁、日本地学教育学会、気象業務支援センター、日本気象予報士会
定員:200名
参加費用:2000円
参加費用のお振込み:オンライン決済(クレジット決済、銀行振り込み等)または郵便振替
申し込み:受け付けは締め切りました。
申込期限:7月27日(水)まで8月1日(月)まで
注意事項
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- 申し込みを行い、参加費を支払われた方にZoomのURLをメールでお知らせします。
- 申し込み後、メールが届かない場合には、夏季大学事務局までお知らせください。URLなどの案内が届かない可能性があります。
- お振込み方法の詳細は、参加登録後にご連絡いたします。オンライン決済を選択された場合、数日以内にお振込の情報をご連絡いたします。
- オンライン決済にはぽちPAYを利用したクレジット決済が可能です。
- 特定商取引法に基づく表記についてはこちらをご参照ください。
■ 趣旨
今回の夏季大学のテーマは「気候変動とその影響」です。眞鍋淑郎博士のノーベル物理学賞受賞や、昨年から今年にかけてIPCC第6次評価報告書が公表されたことが報道されるなど、社会における気候変動への関心はますます高まっているように思われます。ところで、気候変動の予測が実際にどのように行われているのか、ご存じでしょうか。どうして予測が複数の国や機関で行われるのでしょうか。また、気候変動によってどのような変化が私たちの身の回りで起こりえるのでしょうか。今回の夏季大学では、私たちのこれからの生活にも大いに関わる気候変動問題に焦点を当て、予測に使われる気候モデルの発展の歴史と、最新の気候予測、気候変動に伴う様々な影響について、専門家の皆さまに講義を行っていただく企画としました。進行する地球温暖化に対して備える機会となれば幸いです。
■ オンライン講義プログラム ※講義題目、講義日程は変更となる場合があります。
◇8月6日(土)10:00~16:00
- 10:10~11:10 「日本の気候変動2020とIPCC第6次評価報告書」 笹野大輔(気象庁)
- IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書が、2021年8月に公表されました。この報告書は、各国政府が打ち出す気候変動に関する政策に自然科学的根拠を与えるものです。本講義では、日本の気候の「いま」と「これから」をまとめた「日本の気候変動2020」も併せて紹介し、最新の科学研究成果と社会とを直接つなぐ気象庁の役割を紹介します。
- 11:20~12:20 「気候モデルの発展の歴史」 佐藤正樹(東京大学大気海洋研究所)
- 気候モデルは、ノーベル物理学賞を受賞された真鍋淑郎博士による1960年代からの開発の歴史があります。近年は、気候モデルの精緻化、複雑化が進み、海洋・陸面・生態系モデル等と結合した地球システムモデルとして発展するとともに、数値モデルが高解像度化し、数日先の気象と数十年以上先の気候を同一のモデルで予測することが可能になりつつあります。この講義では、これら数値モデルの開発の歴史を俯瞰し、気候モデルの発展について解説いたします。
- 13:30~14:20 「地球の温度上昇予測に大きなばらつきがあるのはなぜか? ―答えは、雲― 」 川合秀明(気象研究所)
- 温暖化予測は、世界各国の様々な研究機関の気候モデルを使って行われていますが、仮定する将来の二酸化炭素濃度が同じでも、地球の温度上昇の大きさは予測モデルによってかなりばらつきがあります。実は、その原因は雲にあります。中でも、雨にはあまり関係しない下層雲の予測がばらついていることが大きな原因です。そもそも、モデルでは雲はどうやって再現されているのか、下層雲はどうやって発生するのか、なぜそんなに地球の温度を大きく左右するのか、などについてできるだけわかりやすく紹介します。
- 14:30~15:20 「気象・気候のデジタルツイン?:NICAMによる高解像度シミュレーション」 中野満寿男(海洋研究開発機構)
- 最近デジタルツインという言葉をよく聞くようになってきました。これはサイバー空間にリアル空間を再現するもので、NICAMによる高解像度な気象・気候シミュレーションはまさにこれらのデジタルツインを目指していると言えるでしょう。本講義では、NICAMによる最新の研究や、猛追する欧米勢の動向を紹介しつつ、今後を展望したいと思います。
◇8月7日(日)10:00~16:00
- 10:00~10:50 「北極圏の温暖化による遠隔気候影響」 森正人(九州大学応用力学研究所)
- 地球温暖化によって、どの季節・どの場所でも同じように気温が上昇しているわけではありません。現在、地球上で最も急速に温暖化が進んでいるのが冬の北極域です。海氷の減少を伴うこの北極の温暖化が、遠く離れた日本などの中緯度域の気象や気候にも影響を与えていることが分かってきました。最新の研究成果を紹介します。
- 11:00~11:50 「洪水災害に対する気候変動の影響と適応」 佐山敬洋(京都大学防災研究所)
- 2019年東日本台風や2020年球磨川豪雨など、近年甚大な被害をもたらす洪水災害が頻発しています。既に発生した洪水ハザードに対して温暖化はどの程度影響を及ぼしていたのか、気候変動の影響で将来の洪水はどのように変化するのか、激甚化する洪水災害に対して我々はいかに適応するかについて、最近の研究や取り組みをご紹介します。
- 13:00~13:50 「ヒートアイランドと温暖化:ヒートアイランド対策と暑さ対策は違うのか?」 日下博幸(筑波大学計算科学研究センター)
- ヒートアイランドと温暖化、どちらも人間活動による昇温現象ですが、そのメカニズムは異なります。また、都市の長期的な気温上昇に対するヒートアイランドの効果と温暖化の寄与率は、過去と将来では異なると考えられています。さらには、ヒートアイランドの緩和策と人が感じる暑さの緩和策(暑さ適応策)には共通するものもあれば、相反するものもあります。本講義では、これらの話題を中心に、ヒートアイランドと温暖化、暑さ対策に関する誤解と真実についてお話しします。さらには、日本と世界で行われている研究の最新の成果について紹介します。
- 14:00~14:50 「世界の穀物生産における気候変動影響と適応」 飯泉仁之直(農研機構)
- 農業分野では気候変動の影響が既に顕在化しており、様々な適応が始まっています。国から全世界といった広域での気候変動による影響と適応策の評価方法や、IPCC WG2 AR6で引用されている近年の知見などについて紹介します。
- 15:00~15:30 学習到達度試験
オンライン講義受講方法
オンライン講義はZoomウェビナーを利用します。受講にはZoomウェビナーを利用可能な環境が必要となりますので、事前の準備をお願いします。開催アドレスは参加登録いただいた方に個別にご連絡いたします。
過去の夏季大学の様子
■ これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ
第56回 2022年8月6・7日 気候変動とその影響
第55回 2021年8月21・22日 海洋と日本の気象・気候~観測から予測まで~
第54回 2020年8月22・23日 雲の科学
第53回 2019年8月3・4日 降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
第52回 2018年8月4・5日 浸水・洪水予測と気象防災の最前線
第51回 2017年7月29・30日 新世代の衛星が切り開く新しい気象の世界
第50回 2016年7月30・31日 エルニーニョ現象と異常気象
第49回 2015年8月1・2日 地球温暖化入門
第48回 2014年8月2・3日 ザ・竜巻
第47回 2013年7月27・28日 台風学の最前線
第46回 2012年8月5・6日 北極温暖化と異常気象
第45回 2011年8月6・7日 気象観測技術の最前線(2)
第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線
第43回 2009年8月1・2日 顕著現象の解析
第42回 2008年8月2・3日 気象のシミュレーションⅢ
第41回 2007年8月4・5日 気象のシミュレーションⅡ
第40回 2006年8月5・6日 気象のシミュレーション
過去の夏季大学 開催一覧(PDF)