夏季大学2023

夏季大学

日本気象学会教育と普及委員会は,最新の気象学の知識の普及を目的として,学生・大学院生,小・中・高等学校の教諭,気象予報士及び気象に興味を持っている一般の方々を対象に,毎年夏休みの時期にやや専門性の高い講座である「夏季大学」を開講しています. 皆さまの積極的な参加をお待ちしております.


第57回夏季大学

テーマ:新しい気象学2023poster2020

日時:2023年8月5日(土)10:00~15:15、6日(日)10:00~16:00
開催形態:オンライン開催
主催:日本気象学会 教育と普及委員会
協賛:日本気象学会 計算科学研究連絡会
後援:気象庁、日本地学教育学会、(一財)気象業務支援センター、(一社)日本気象予報士会
定員:200名
参加費用:2000円
参加費用のお振込み方法(予定):オンライン決済(クレジット決済、銀行振り込み等)または郵便振替
申し込み:申し込みは終了しました。
申込期限:7/31(月)まで

ポスター(PDF)

注意事項

    • 申し込みを行い、参加費を支払われた方にZoomのURLをメールでお知らせします。
    • 申し込み後、メールが届かない場合には、夏季大学事務局までお知らせください。URLなどの案内が届かない可能性があります。
    • お振込み方法の詳細は、参加登録後にご連絡いたします。オンライン決済を選択された場合、数日以内にお振込の情報をご連絡いたします。
    • オンライン決済にはぽちPAYを利用したクレジット決済が可能です。
    • ぽちPAYでの決済時、「ご利用代金の請求名」が「2022年夏季大学」と表示されますが、このまま決済に進んでいただいて問題ありません。(修正依頼中です)
    • 特定商取引法に基づく表記についてはこちらをご参照ください。
    • 定員になり次第締め切らせていただきますのでご了承ください。

■ 趣旨

今回の夏季大学のテーマは「新しい気象学2023」です.近年,AI技術の利用や最先端のスーパーコンピュータを用いた超高解像度シミュレーションが様々な研究分野で急速に増加しています.気象学においても例外ではなく,これまでにない革新的な研究が行われています.また,台風や豪雨を制御する技術開発も行われ,気象学は大きな転機を迎えています.現代の天気予報のさらなる精度向上や気候変動の課題解決において,このような技術が果たす役割や応用可能性について,8名の専門家による講義を企画しました.気象学におけるAI技術やシミュレーション技術の最新動向や将来の展望に触れ,新たな知見を身につける機会となれば幸いです.

■ オンライン講義プログラム ※講義題目、講義日程は変更となる場合があります。 ※発表順・発表時間は今後変更になる可能性があります。

◇8月5日(土)10:00~15:15

  • 10:05-11:05 「大気科学におけるAIの利用方法」 関山剛(気象研究所)
    • 昨今一世を風靡している深層学習などの最新AI技術は大気科学(気象学)の分野にも徐々に進出してきている。一方で気象庁予報ガイダンスでは約30年前から簡便な機械学習技術を利用しており、天気予報とAIとの関係は深い。データ処理や代理モデルなど、今後は大気科学の幅広い分野で複雑なAI技術が使われるようになるだろう。
  • 11:15-12:15 「最先端のスーパーコンピュータを用いた天気予報研究」 大塚成徳(理化学研究所)
    • 世界トップクラスのスーパーコンピュータ「富岳」を運用する理化学研究所では未来の天気予報に向けて研究を行っています。高解像度・大アンサンブル・高頻度更新の実験的な天気予報やAIの活用、未来の観測装置を想定した仮想実験など、理化学研究所での最先端研究について紹介します。
  • 13:30-14:20 「都市の建物と樹冠を解像した微気象シミュレーション技術の開発と社会実装 」 松田景吾(JAMSTEC)
    • 地球温暖化とヒートアイランドの進行に伴って、都市の暑熱環境の深刻化と熱中症リスクのさらなる増大が懸念されています。効果的な暑熱環境対策を講じるためには、複雑な都市構造の中の微気象を考慮して対策の効果を推定することが重要です。本講義では、数メートル解像度で都市の建物形状や樹冠の分布までも考慮した微気象シミュレーションモデルの開発と実在街区を対象とした暑熱環境の解析事例について紹介します。
  • 14:25-15:15 「深層学習を利用したリアルタイム微気象予測への挑戦」 安田勇輝(東京工業大学)
    • リチャードソンは1920年頃「6万4千人が手計算すれば、リアルタイム天気予報が可能」と提案した。それから100年経ち、計算機の発達により、天気予報は我々の生活に欠かせないものとなった。微気象予測は、ビル風など天気よりも細かいスケールの現象を対象とする。その計算負荷の高さから、スーパーコンピュータを用いても、リアルタイム計算は実現できない。本発表では、AI技術の一つ深層学習を利用し計算量を減らすことで、リアルタイム微気象予測へ繋げる最新の試みを紹介する。

◇8月6日(日)10:00~16:00

  • 10:00-11:00 「Today’s Earthによる全球から市町村規模までの洪水予測」 芳村圭(東京大学)
    • 近年の気候変動による洪水災害の甚大化を背景に、本年5月、洪水予報の高度化を図るための気象業務法と水防法の改正が成立しました。今後、民間による洪水予測が審査・許可されていく方向になります。JAXA/東大のToday’s Earthでは、全球から市町村スケールまでの水循環推計及び予測を行っており、洪水予測への利用可能性を鋭意検討しています。この発表では、洪水予測をめぐる昨今の情勢にからめて、Today’s Earthの開発や成果についてご紹介します。
  • 11:10-12:10 「海から季節の不順を予測する〜季節予測の最前線〜」 土井威志(JAMSTEC)
    • 季節予測とは、冷夏・暖冬・少雨・大雨などの「季節の不順」を数ヶ月前から予測することです。私の講演では、日々の天気予報と季節予測の違い、熱帯の海の重要性、季節予測の社会応用可能性などを、最新の研究成果と合わせて解説します。
  • 13:20-14:20「より速く、より多く、より長く、より複雑にー気象・気候予測を支えるコンピュータとの共同作業」 八代尚(環境研)
    • 現代の気象予報や気候変動予測は数値シミュレーションに支えられています。更なる予測精度向上のためには、気象・気候モデルの新たなアルゴリズムを開発するだけでなく、日々進化を続けるコンピュータにモデルのプログラムを適用させていくという努力が必要となっています。高速で効率良い計算を行うために、気象・気候モデルとコンピュータが近年どのような協業(コデザイン)を行っているかについて解説します。
  • 14:30-15:30「台風制御に向けて:ムーンショットでの取り組み」 森信人(京都大学)
    • 台風制御は、1940年代後半からアメリカでハリケーンの人工制御の研究が始まっている。1969年には、米国海洋大気庁がハリケーンDebbieに対して、その中心に形成される壁雲に航空機からヨウ化銀を散布し、散布した直後のハリケーンの風速が約30%軽減したという報告がある。しかし、やはり多くの懸念があり、ハリケーンに対する実証実験もその後中断している。 半世紀が過ぎた現在、台風のメカニズム、さらに数値シミュレーション技術は格段に上がった。2022年よりJSTムーンショットプログラムにおいて、台風制御について研究が開始されている。本講義では、台風制御および周辺技術開発について紹介する。
  • 15:35-16:00 学習習得チェック 

オンライン講義受講方法
オンライン講義はZoomウェビナーを利用します。受講にはZoomウェビナーを利用可能な環境が必要となりますので、事前の準備をお願いします。開催アドレスは参加登録いただいた方に個別にご連絡いたします。

過去の夏季大学の様子


■ これまで(第40回以降)の夏季大学のテーマ
第56回 2022年8月6・7日 気候変動とその影響
第55回 2021年8月21・22日 海洋と日本の気象・気候~観測から予測まで~
第54回 2020年8月22・23日 雲の科学
第53回 2019年8月3・4日 降雪・積雪予測と雪氷防災の最前線
第52回 2018年8月4・5日 浸水・洪水予測と気象防災の最前線
第51回 2017年7月29・30日 新世代の衛星が切り開く新しい気象の世界
第50回 2016年7月30・31日 エルニーニョ現象と異常気象
第49回 2015年8月1・2日 地球温暖化入門
第48回 2014年8月2・3日 ザ・竜巻
第47回 2013年7月27・28日 台風学の最前線
第46回 2012年8月5・6日 北極温暖化と異常気象
第45回 2011年8月6・7日 気象観測技術の最前線(2)
第44回 2010年8月7・8日 気象観測技術の最前線
第43回 2009年8月1・2日 顕著現象の解析
第42回 2008年8月2・3日 気象のシミュレーションⅢ
第41回 2007年8月4・5日 気象のシミュレーションⅡ
第40回 2006年8月5・6日 気象のシミュレーション
過去の夏季大学 開催一覧(PDF)