今年のテーマは「ENSOとその影響 ~我々はどこまで理解し,予測できているのか~」です.ENSOとは,エルニ―ニョ・南方振動のことで,これらの現象を大気と海洋の一連の変動として見るときに使われる言葉です.2014年1月と2月の強い西風バーストにより,太平洋赤道域の表層では振幅の大きな暖水ケルビン波が東進し,夏以降の本格的なエルニーニョ現象の発生が予測されました.しかし,その後,期待された大気と海洋の正の相互作用がなかなか働かず,その間に暖水が縮小し,現在のところ発生に至っていません(2014年8月現在).
エルニーニョ現象については,現在もなお新しい発見や疑問が生じており,今後の研究や知見の蓄積,予測技術の改良が期待されています.
本研究会では,今年のENSOの実況と予測について振り返るとともに,ENSOのメカニズム,十年規模変動や地球温暖化との関係,予測技術や海洋観測の現状と展望について議論することを目的としています.
記
日時:2014年12月3日(水)14時00分~18時00分
場所:気象庁3号庁舎3023会議室
テーマ:ENSOとその影響 ~我々はどこまで理解し,予測できているのか~
プログラム(PDF)
座長:尾瀬 智昭(気象研究所気候研究部)
1. 2014年のENSOの実況と予測(拡張要旨)
※前田 修平(気象庁気候情報課)
2. いつどこで起きる西風イベントが東部熱帯太平洋をよく暖めるか(拡張要旨)
※林 未知也(東京大学大学院理学系研究科)
3. 2014年夏のエルニーニョはなぜ成長しなかったか?(拡張要旨)
※今田 由紀子(気象研究所気候研究部)
4. The Unusual El Nino of 2014
※Swadhin Behera ・Takeshi Doi(海洋研究開発機構)
5. 熱帯太平洋の十年規模変動がENSO予測に及ぼす影響(拡張要旨)
※安田 珠幾(気象研究所気候研究部)
座長:高谷 祐平(気象庁気候情報課)
6. Decadal ENSOに伴う陸上猛暑頻度と熱帯対流圏上層気温の近年の変動の特徴(拡張要旨)
※釜江 陽一1・塩竈 秀夫1・渡部 雅浩2・石井 正好3・植田 宏昭4・木本 昌秀2
(1国立環境研究所、2東京大学大気海洋研究所、3気象研究所、4筑波大学)
7. 夏季東アジア気候の季節予測可能性の起源(拡張要旨)
※小坂 優(東大先端科学技術研究センター)
8. ENSO予測のための海洋データ同化システムの現状と今後の展開(拡張要旨)
※藤井 陽介・豊田 隆寛(気象研究所海洋・地球化学研究部)
9. 熱帯観測システムの現状(拡張要旨)
※植木 巌(海洋研究開発機構)