研究会「長期予報と大気大循環」(2025年1月27日開催)
「長期予報研究連絡会」では下記の予定で研究会「長期予報と大気大循環」を開催します。
今回のテーマは、「中緯度大気海洋相互作用」とします。日本付近を含む北半球中緯度域では、2023年夏、2024年夏と続けて記録的な高温に見舞われた地域が多くなりました。その背景要因として、大気の流れだけでなく、日本近海を含む中緯度帯における顕著に高い海面水温の影響等、大気・海洋間の相互作用も近年着目されています。
日本では、2024年夏の平均気温は、1898年の統計開始以降、2023年と並んで最も高くなり、その要因として、地球温暖化に伴う全球規模の気温の長期的な上昇傾向のほか、同年春まで持続したエルニーニョ現象等により熱帯~北半球中緯度帯の対流圏の気温が記録的に高かったことの影響が考えられています。この対流圏中緯度帯での高温には、北太平洋や北大西洋の中緯度帯で高い海面水温が持続したことの影響が示唆されています。また、7月下旬に北日本で発生した記録的な大雨や9月下旬の能登半島の大雨にも、日本近海の高い海面水温に伴って豊富な水蒸気が大気下層に供給されたことが関連した可能性が考えられています。
そこで今回の会合では、日本を含む世界各地で頻発した高温や大雨等の顕著現象などの要因について、中緯度大気海洋相互作用に主眼を置き、地球温暖化、エルニーニョ・南方振動や十年規模変動等の海洋変動、熱帯・中高緯度の大気循環場、季節スケールでの予測可能性も含めた幅広い観点から議論を深めてまいります。また、海洋・海氷変動が大気に与え得る影響にも議論を拡げられればと考えております。
研究会の詳細および講演については下記のとおりです。
記
主催:長期予報研究連絡会(代表 中村 尚)
日時:2025年1月27日(月)13時30分~17時30分(予定)
場所:Web会議(接続に関する詳細は、参加者に後日連絡いたします)
事務局:気象庁気候情報課 竹村 和人、中村 哲(extreme[at]met.kishou.go.jp、[at]を@に変えてお送りください)
プログラム・要旨(pdf)
開会挨拶 中村 尚(代表)
座長:竹村 和人(気象庁気候情報課)
1. 北半球中緯度での顕著に高い海面水温が2024年夏の対流圏気温に及ぼした影響
竹村 和人(気象庁気候情報課)
2. 中緯度大気海洋結合によるテレコネクションパターンの選択的増幅
森 正人(九州大学)
3. 2023年春~夏にみられたラニーニャ現象の名残とエルニーニョ現象の共存状態
楳田 貴郁(高松地方気象台)
4. 熱帯の海面水温・対流活動を指標とした季節予報ガイダンスによる2024年夏の日本域の気温予測と高温要因の考察
小越 久美(一般財団法人日本気象協会)、鈴木はるか
5. 熱帯海洋に依存しない秋季熱帯大西洋の対流活動が冬季北極域の海氷に与える影響
平賀 詩之助(三重大学大学院 生物資源学研究科)、立花義裕
~ 休憩 ~
座長:中村 哲(気象庁気候情報課)
6. 2024年夏~秋の沖縄・奄美近海の記録的に高い海水温と大気への影響
佐藤 大卓(気象庁気候情報課)
7. 2021年夏季北太平洋中央部における観測史上最大の海洋熱波の形成
西平 楽(東北大学)、杉本周作
8. 中緯度海洋前線帯が移動性高低気圧間の水循環に与える影響
岡島 悟(筑波大学)
9. 日本近海の海面水温が梅雨期降水系に及ぼす影響
万田 敦昌(三重大学)
10. 東北地方の冷害と日本周辺海面水温との関係
内山 常雄(日本気象予報士会)
閉会挨拶 中村 尚(代表)