TRMMはまだ観測を続けています

大阪府立大学大学院工学研究科 岡本 謙一
皆様

残念ながらJAXAは7月9日にTRMM運用停止をプレス発表しました( 
http://www.jaxa.jp/press/2004/07/20040709_trmm_j.html)。
これまでの、日本のTRMM研究者によるTRMM運用停止反対の活動は、結果的には、成功 
しなかった様に見えますが、研究者自身が自らの権利を護るのは、自分たちでしかな 
いことに気付いて行動したことは大きな意義があると思われます。自由で批判的な態 
度なくしては、科学は進歩しません。

さて、米国のTRMM Scientist達も、NASA O'Keef長官や上院議員に向けた手紙のFAXに 
よる送信を開始しました。彼らは、自分たちの研究上の権利を護るのは、自分たちで 
あることを、過去の経験から良く知っています。Bob Houzeからのメー ルを以下に添
付します。彼が、NASA O'Keef長官や上院議員に向けた手紙のサンプルがついています。
日本からのサポートも期待されています。短い、拙い手紙でもいいですから、すくなく
ともNASA O'Keef長官へ、FAXしていただけないでしょうか?

Dr. Sean O'Keefe, Administrator, NASA
NASA Headquarters
Washington DC 20546-0001
Telephone: 1 202 358-1010
FAX: +1 202 358-2810

また、同時にそのファイルをemail添付で下記に送っていただけないでしょうか?

Robert.F.Adler@ nasa.gov
gasrar@ mail.hq.nasa.gov
a.v.diaz-1@ nasa.gov
orlando.figueroa-1@ nasa.gov
jkaye@ mail.hq.nasa.gov
dmccuist@ nasa.gov
mluther@ nasa.gov
sneeck@ mail.hq.nasa.gov
rkakar@ hq.nasa.gov

JAXAに見捨てられた私たちには、NASA長官にお願いするのが、 残された唯一の道です。
著名な気象学者のBob Houzeも遂に、象牙の塔にこもれなくなったのでしょう。

さて、TRMMは、7月7日に予定されていた軌道高度を402.5km+/-1.5km に維持するマ 
ヌーバが中止になり、徐々に高度を下げてきていますが、太陽活動が非常に不活発で 
あり、当面、多分7月中は、TRMM PRのデータは、まだレンジ方向の欠損無く取得でき 
ます。TRMM 運用責任者のVickey Moranさんによる と、Asrar氏(注:NASA地球観
測担当局長)が、JAXAの返事に応えてすぐに運用停止の命令をしない限り、8月初めま
では、観測装置のOFFと太陽電池を畳む操作は、しないようです。その後、サバイバル
ヒータ(観測装置が凍り付かない様に、暖めるヒータ)の電源は維持し、もし余裕があ
れば、TMIの電源はONにし、来年の春先くらいまでは、データを取るようです。その後
は、来年の夏には海に落とすようです。

Bob Houzeも、7月9日付けの彼のメールの中で、

”As you may already know, NASA is on the verge of deciding to end the TRMM 
satellite's mission prematurely. This decision may come within as little as 
a day or two. We can still attempt to head off this decision if we act NOW. 
Even if the decision is made, we can appeal for a reversal since it will 
take at least several weeks to implement the decision. ”

(既にお聞き及びかもしれませんが、NASAは、時期を早めてTRMM衛星のミッションを 
終わらせる決定をする寸前にいます。この決定は、この1〜2日の内になされるかも 
しれません。私たちは、もし今行動するならば、まだこの決定をさせないように試み 
ることができます。たとえ、その決定がなされるとしても、その決定が実行に移され 
るまでには、少なくとも数週間かかりますから、私たちは、逆転のための訴えをする 
ことができます。(岡本拙訳)

と簡単には、TRMM運用停止は、できないと言っています。
TRMM ProjectがNASA/GSFCからJPLに移されることを約15年前に阻止した実績のあ 
る、米国科学者の行動を見守ると共に、NASA O'Keef長官への働きかけを支援しましょう。

まだ、諦めるには早いです。TRMMは、まだ観測を続けています。
このメールは、TRMM延命に関心のあるどなたに転送されても結構です。

を一部転載、紹介させていただきます。