夏季大学「新しい気象学」開催のお知らせ



第41回のテーマは「気象のシミュレーションU」です。コンピュータ演算能力の向上、 リモート観測技術やデータ同化技術の発展などにより、気象のシミュレーション技術は飛躍的に発展し、 現在の天気予報の基盤技術のひとつとなっています。気象現象のモデル化やシミュレーション結果の利用法、 さらには海洋における現象のシミュレーションといった講義を通じてシミュレーションの意義や役割を 明らかにします。また、リモート観測の代表である気象衛星の雲画像を用いて解析の基礎を実習形式で 学んでいただきました。



テーマ:気象のシミュレーションU
日 時:2007年8月4日(土)〜5日(日)
会 場:気象庁講堂 (東京都千代田区大手町1-3-4)
参加者:81名

講義内容と時間割
8月4日(土)
9:00

10:30
気象モデルにおける雲の取り扱い
大気の運動には様々な物理過程が介在している。本講演ではそのうち、 「雲物理過程」を中心に、雲物理過程とはどのような過程か、様々な気象モデルでは雲と関係した 物理量をどのように扱かっているか、その扱い方にどのような問題点があるか?などについて示す。

講義概要
中村 晃三
(地球環境フロンティア
研究センター)
10:45

12:15
大気環境影響評価
火力発電所や廃棄物処理施設、主要道路などの環境への影響評価、 対策評価などがシュミレーションモデルなどを用いて行われているが、本講演では、 シュミレーションモデルの果たす意義と役割、シュミレーションモデルの全体像、 主たる個別シミュレーション技術と検証、通常の気象予測との相違、課題などに触れていただく。

講義概要
近藤 祐昭
(産業技術総合研究所)
13:15

14:45
短期・中期予報とさまざまなアプリケーション
本講演では気象庁で運用を行っている短期(2日程度)・中期(1週間程度)を 対象とした数値予報モデルの概要、モデル出力を利用したガイダンス等の天気予報作成支援資料となる アプリケーションについて示す。

講義概要
安藤 昭芳
(気象庁数値予報課)
15:00

16:30
数値モデルによる台風予測
台風は水平スケール1000km程度の系全体の時間発展が湿潤過程、海面境界過程、 台風初期値といった数値モデルの持つ不確定要素に左右される。台風についての最近の知見も交えながら 予測精度改善のための取り組みについて紹介する。

講義概要
上野 充
(気象研究所)
8月5日(日)
9:00

10:30
波浪・高潮の物理と数値モデルによる予測
波浪や高潮の実用的予報は,現在数値モデルを用いて行われている。本講演では、 波浪と高潮の物理的な特性について簡単に解説した後、モデル化の考え方について紹介する。

講義概要
高野 洋雄
(気象研究所)
10:45

12:15
津波予報への数値シミュレーション技術の活用
気象庁の津波予報には、数値シミュレーションの技術が用いられている。 本講義では、津波と波浪の波の性質の違い、津波の発生と伝播の特性、そして、数値シミュレーションを 活用した津波予測の仕組みを学ぶ。また、最近の津波の事例も紹介する。

講義概要
林 豊
(気象研究所)
13:15

16:30
SATAIDを用いた雲画像解析(実習)
気象庁の現業でも使われている雲画像解析プログラムセットSATAIDを使った 雲画像解析の実習を行う。赤外画像や可視画像による雲の見分け方、低気圧や前線などの解析や描画、 各種観測データやGPVデータの重ね合わせによる構造把握等を実際に行っていただく。 SATAIDおよびデータは気象衛星観測月報や雲解析事例集によって一般にも手に入るため、実習後、 教育等に役立てていただきたい。

講義概要
西村 修司
(気象庁予報課)


主 催:日本気象学会
後 援:気象庁、(財)気象業務支援センター、日本気象予報士会



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