日本気象学会は、最新の気象学の普及を目指して、毎年夏季大学を開催してきました。 そして、2006年からは、高校で物理を履修した大学初年次程度の受講生を想定して、講義内容を構成しています。
今年のテーマは「気象のシミュレーションV」です。地球は大気、海洋、陸地といった構成要素からなるシステムです。 地球規模の大気の運動を予測する際、海洋や陸地の状態の変化が大気に及ぼす影響だけでなく、 これらの間の相互作用も測らなければならず、この複雑なシミュレーションはコンピュータ演算能力が著しく 向上した近年になってようやく可能になりました。
今回は、気象や海洋の現象のモデル化や相互作用の シミュレーション結果を通じて、地球環境のシミュレーションの意義や役割を明らかにします。 また、アジア初の長期再解析(世界中の過去の観測データと最新の数値解析予報技術を使って得られる、 過去長期間にわたる高品質の解析データセット)であるJRA-25を用いた気候解析の基礎を実習形式で学んでいただきます。
テーマ: | 気象のシミュレーションV |
日 時: | 2008年8月2日(土)〜3日(日) |
会 場: | 気象庁講堂 (東京都千代田区大手町1-3-4) |
参加者: | 81名 |
講義内容と時間割 | ||
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8月2日(土) | ||
10:00 〜 11:30 |
気候システムのモデル化から地球システムのモデル化へ 〜地球温暖化予測モデルの現状と今後の展望〜
地球の気候をシミュレートする気候モデルは、地球温暖化予測において最も重要なツールとして世界中の研究機関で
開発が続けられてきている。そのしくみと最新の予測結果を示し、性能向上と不確実性の低減に向けた地球システム
モデルへの発展について解説する。
講義概要 |
行本 誠史 (気象研究所) |
13:00 〜 14:30 |
季節予報モデルについて
本講演では気象庁で運用を行っている季節予報(1か月、3か月、暖・寒候期予報)を対象とした数値予報モデルの概要と、
短期、中期予報を対象とした数値予報モデルとの違いを中心に、数値予報結果の利用における留意点などを示す。
講義概要 |
新保 明彦 (気象庁 気候情報課) |
15:00 〜 16:30 |
大気海洋結合系のシミュレーション
本講義では、気候システムにおける海洋圏・雪氷圏の役割と、それらを含む大気海洋結合系の数値シミュレーションについて
概要を述べた後、近年注目を集めている中緯度域での大気海洋相互作用について紹介する。
講義概要 |
小守 信正 ((独)海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター) |
8月3日(日) | ||
10:00 〜 11:30 |
気候のための再解析 JRA-25
長期再解析は、これまで蓄積されてきた観測データと最新の数値解析予報技術を
使って、過去数十年間の地球全体の大気の状態を精度よく再現する気候データを作成するものである。
再解析データは、過去の気候変動にともなう様々な現象の解析などに利用できる。
気象庁と(財)電力中央研究所がアジアで初めて実施した再解析JRA-25について、解説する。
講義概要 | 大野木 和敏 (気象庁 数値予報課) |
13:00 〜 15:00 |
JRA-25を使おう(実習)
JRA-25データを用いて、季節や年変動といった気候の他、
水循環や異常気象の監視のための図を実際に描く作業を行う。
講義概要 GrADSテスト |
海老田 綾貴 (気象庁 気候情報課) |
主 催: | 日本気象学会 |
後 援: | 気象庁、(財)気象業務支援センター、日本気象予報士会 |