1.気象学用語集は以下のものからなっています。
基本用語とは大学教養教育程度以下の用語および一般気象用語(社会的気象用語)を指します。気象学会関係者・専門研究者以外はたいていこの用語集で間に合うと思います。約1000語が採録されています。より詳しい情報は「基本用語集について」をご覧下さい。
(2)用語集 和英,英和
気象学において用いられる数多くの用語を網羅しています。基本用語も含めています。過去の本や論文を読む際の便宜を考えて,すでに古くなった用語も注釈を付けて採録しています。
(3)略語集
気象(学)では多くの英略語が用いられます。その正確な表現と日本語を示しています。
(4)使用において注意を要する用語
使用において注意を要する用語を特別に取りあげています。古い教科書等には現在では妥当性に問題のある用語などが多く見られます。これらをそのまま使うことは当然ながら大きな問題があります。教科書を執筆される方や気象研究者以外で気象分野を含む本を執筆される方などはぜひ参考にしてほしいと思います。
(5)別表
以下の5つを別表としています。
(ア)熱帯低気圧の分類
熱帯低気圧の分類を日本語と英語の両方の表記で与えています。日本の分類と国際的な分類は異なっているので注意が必要です。
(イ)雪の結晶の分類
Magono and Lee
(1966)にもとづく雪の結晶の分類を,日本語と英語の両方の表記で与えています。
(ウ)風力階級
国際気象機関(WMO)の風力階級表を与えています。風力階級の名称に関しては英語名が決められていますが,試みに日本語の表記も付けています。
(エ)単位について
国際単位系を中心に,過去に用いられてきた単位も説明しています。また単位表記に関する書式も示しています。
気象学でよく用いられる定数を与えています。できるだけ正確な定数の値を示しているのが特徴です。定数の名称に関しては,日本語と英語の両方で表記しています。
(カ)雲の分類
国際気象機関(WMO)の雲の分類を与えています。母雲に関する部分も表記し,それに対する日本語も注釈とともに示しているのが特徴です。日本語と英語の両方で表記しています。
2.基本用語集と全用語集の和英においては,第1列に用語,第2列に用語の読み,第3列に用語に対応する英語を記しました。例えば,
気象観測 きしょうかんそく meteorological observation
3.基本用語集と用語集の英和においては,第1列に英語用語,第2列にそれに対応する用語,第3列に用語の読みを記しました。例えば,
front 前線 ぜんせん
4.和英,英和とも第4列には備考を与えています。同義語,ニュアンスの違いなどを示しています。単に単語のみを示しているものは同義語です。他は文章化しています。
5.対応する英語がまったくない,ないしはうまく対応しない日本語も採録しています。対応する英語がないという情報も重要な情報であるという意図に基づいています。
6.和英における英語や英和における用語が複数ある場合も多くあります。日本語と英語は必ずしも一対一に対応しないことも多いので,複数の用語から利用者がより適切と思われる用語を選択できるようにとの配慮から,このような方針をとりました。
7.配列は,和英においては用語の読みによる五十音配列,英和においては用語に対応する英語の語順ABC配列によっています。
8.括弧,その他の記号の用い方は,次のとおりです。
(ア)〔 〕内は省略してよいものを示します。例えば,
alcohol[-in-glass] thermometer アルコール温度計 あるこーるおんどけい
においては,alcohol thermometerも alcohol-in-glass thermometerもともに用いられることを示します。
[ ]が英語と日本語の両方にある場合は,[ ]を両方に付けた場合と,[ ]を両方でとった場合のそれぞれで対応します。例えば
pressure gradient [force] 気圧傾度[力] きあつけいど[りょく]
においては,pressure gradientは気圧傾度と,pressure
gradient forceは気圧傾度力と対応することを示します。
(イ)( )は2つの使い方をしています。
ひとつは用語の最後尾でその用語の省略形(雲の省略形を含む。AMeDASだけは逆に正式名称)を示す場合です。例えば,
low-level jet (LLJ) 下層ジェット(LLJ) かそうじぇっと
もうひとつは交換が可能という意味で用いています。例えば,
fine mesh (grid) model 細格子モデル さいこうしもでる
これは,fine mesh model という使い方も fine
grid model という使い方もできることを意味しています。
(ウ) 省略形の読みにおいては,特別な読みをするもののみを( )内に書いています。書いていないものは普通にアルファベット通りに発音します。例えば,
low-level jet (LLJ) 下層ジェット(LLJ) かそうじぇっと
は何も書いていないので,LLJは「えるえるじぇい」と読みます。一方,例えば,
Tropical Rainfall Measuring Mission (TRMM) 熱帯降雨観測衛星(TRMM)
ねったいこううかんそくえいせい(とりむ)
では,読みに書いているようにTRMMは「とりむ」と読みます。
(エ)【 】内は説明ないし注記を示します。例えば,
fall velocity 落下速度【雲粒や雨粒の】 らっかそくど
(オ)
→印は参照すべきものを示します。例えば,
あられ → 雪あられ,氷あられ
(カ)
形 は形容詞的な働きをする言葉として用いる場合の用語の形を示します。例えば,
(キ)
用語の意味が同じものは連記していますが,その意味が異なるものはそれぞれ
(1),(2),(3)などを冠して掲げました。例えば
discharge (1)流量【水文】 りゅうりょう
(2)放電 ほうでん