その他の用法
表記の仕方を示します。日本語を書く際の参考にもなるものと思います。
1.外国の地名・人名などの固有名詞の読みはもっとも一般的と思われるものを採用しました。
2.日本語が英語化して用語に対応する外国語となったものはイタリック体で示しました。例えば,
Kuroshio 黒潮 くろしお
3.漢字は以下のように用いました。
(ア) 基本的には常用漢字を用いました。音訓(常用漢字表の付表を含む)や送りがなも基本的にその範囲で用います。
音訓の例 「梅雨(つゆ)」,「吹雪」は付表に示されているので,そのまま用います。
「台風の眼」,「氷柱」は範囲外なので「台風の目」,「つらら」とします。
送りがなの例 晴れ,曇り,向かい風,持ち上げ凝結高度
(イ) 音訓の例外は次の3つです。いずれも巻を「けん」と読みます。
巻雲 けんうん,巻層雲 けんそううん,巻積雲 けんせきうん
(ウ) 常用漢字以外の漢字でも気象用語検討委員会において,学術用語の中に使用したいものとして,次の16字の漢字と読み(ひらかなは訓,カタカナは音)を選び,これらの漢字を使って表記しています。
嵐(あらし),笠(かさ),痕(コン),擾(ジョウ),塵(ちり,ジン),汐(セキ),閃(セン),塞(ソク),
捉(ソク),堆(タイ),虹(にじ),汎(ハン),斑(ハン),播(ハ),湧(ユウ),麓(ロク)
(エ) 上記以外で,しばしば気象学で用いられる漢字も,ひらかなに加え,漢字を〖 〗に入れて付記しています。それらは以下の5字です。
あられ〖霰〗,かさ〖暈〗,かすみ〖霞〗,しゅう〖驟〗雨(雪),がい〖骸〗晶
(オ) 漢語の一部をかな書きする「交ぜ書き」のうち,以下の例は避けています。
ら旋 → らせん,頭きん
→ ずきん,
4.外来語の表記は次の基準によっています。
(ア) 二つ以上の単語からなる外来語のカタカナ表記は以下のようにしています。
単語と単語の間の中点(・)は原則として,2語からなるものには付けず,3語以上からなる場合は付けています。また固有名詞と固有名詞の間と,固有名詞と一般語の間にも付けます。
例 cloud cluster クラウドクラスタ
large eddy simulation ラージ・エディ・シミュレーション
Indian monsoon インド・モンスーン,
Stefan-Boltzmann law シュテファン・ボルツマンの法則
Eliassen-Palm flux エリアッセン・パーム・フラックス
ただし2語からなるものでも長くて読みにくいもの(目安は11文字以上)には中点を付け,3語からなるものでも,うち2語の結びつきが強いものには中点を付けない場合があります。
例 spiral rainband スパイラル・レインバンド
normal mode
initialization ノーマルモード・イニシャリゼーション
(イ) 英語のつづりの終わりの -er,-or,-arなどを仮名書きする場合には,次の方針によって,語尾の長音符号「−」を略しました。
(1)その言葉が,語尾の長音符号を除いて3文字以上になる場合には,語尾に長音符号を付けません。例えば,
サーミスタ(thermistor)
(2) 2文字以下の場合には,語尾に長音符号を付けます。例えば,
放射パワー(radiant power)
(3) 組み合わせた言葉は,それぞれの言葉について,上記の(1)または(2)を適用します。
(4) 上述の文字の数え方では,(i)長音記号,(ii)はねる音「ン」,(iii)つまる音「ッ」は,それぞれ1文字とし,(iv)よう音を示す小さい文字を数えません。例えば,
(i)レーダ(radar) (ii)センサ(sensor) (iii)チョッパ(shopper)は,いずれも3文字と数えます。一方,(iv)
ウェザー(weather)は2文字となるので,語尾に長音符号が付きます。
ただし,次の6語は上述の方針の例外としています。
リーダー (leader)
スーパー (super)
サンダーストーム (thunderstorm)
トレーサー (tracer)
クァドラチャースペクトル (quadrature
spectrum)
氷晶のホイスカー (whisker of ice
crystal)
(ウ)-gy,-pyなどは長音符号を付けます。例えば,
エネルギー (energy)
エントロピー (entropy)
(エ)以下は次のような表記を使います。
aero〜
エアロを主に,エーロも併記する
air エア
data データ
day デー
diamond ダイヤモンド
fax ファックス
low ロー
profile プロファイル
report レポート
shear シアー
(オ) 外国の人名,地名および人名起源の語は慣用によっています。従って(イ)の原則も適用していません。例えば,
チャンドラー潮汐(Chandler tide),ドップラーレーダ
(Doppler radar)
5.英語のスペルは米国式を用いました。ただし固有名詞はその通りに書いています。例えば,
European Centre for Medium-range
Weather Forecasts (ECMWF)
複合語,ハイフネーション,その他のスペルに関することはThe Chicago Manual of Styleによっています。例えば
streamfunction, semiannual, quasigeostrophic, cold-air outbreak,
wet-bulb
temperature
6.アメリカ合衆国の組織名で,Nationalの付くものは,米国と訳しています。例えば,
National Oceanic and Atmospheric
Administration (NOAA) 米国大気海洋庁
National Center for Atmospheric
Research (NCAR) 米国大気研究センター