日本気象学会第30・31期新旧理事・監事合同会議議事録
日時
2000年6月19日(月)13時30分〜15時15分
会場
東京管区気象台会議室(気象庁8階)
出席者
廣田,二宮,岩嶋,小川,勝山,神沢,木田,近藤,澤井,関口,住,竹村,田中(博),田中(浩),永田,中澤,中村(誠),新野,藤部,藤吉,万納寺,安田,山内,山岸, 以上24名
その他の出席者
舘(事務局)
- 山本・正野論文賞候補者の推薦
候補者推薦委員会からの報告があり,各理事の投票により決定することになった.
- 堀内賞候補者の推薦
候補者推薦委員会からの報告があり,各理事の投票により決定することになった.
- 各委員会引継事項
第31期理事会への引継ぎ事項として,第30期各担当理事から担当業務の内容と懸案事項についての説明が行われた.主な内容は以下の通り.
- 庶務…今年は定款改訂後はじめての総会であったことから全員が危機感を持って臨み,日程的に充分な余裕を持って成立に必要な数の総会参加票を回収できた。来年の総会についても,今年の経験を生かし,スケジュールを睨みながら適切な対策をとっていく必要がある.
- 会計…黒字の有効利用(事務負担の増加に対応するために,会計事務の近代化への利用等)の検討,ペイオフに対応した証券等の財産の分散化,2000年総会における指摘事項の節税対策・赤字予算の問題についての検討が必要である.
- 天気…校正を行う編集事務局担当委員の確保の問題など編集体制・対策の検討,メソスケール現象に関する論文の投稿が多いため,メソスケール現象を専門とする編集委員の増員を行う必要がある.
- 気象集誌…査読の遅れについてクレームがある.査読が早く行われるようにする必要がる.文部省からの補助金がこの2年間で100万円も減少した.和文要旨がついていることが影響している可能性があり,和文要旨を削除するか検討する必要がある.
- 気象研究ノート…担当理事から,財政的に平均化された発刊が求められているが,多数の執筆者によって分担執筆されるため完成までに時間がかかり,発刊数にむらができやすい.編集員が多大な努力を行っているが,理事会の理解も欲しい.商業ベースとして気象関連の本が多く発売されている現状などがあり,他の出版物との位置付け,研究ノートのあり方を検討することの認識が必要である,との報告があった.このことについて,気象研究ノートは,テーマについて基礎的事項から専門的な事項までの解説がしてあり,いろいろな層の会員に役立っていると考えている.取り上げて欲しいテーマについて会員全体へのアンケートをしてはどうかという意見があった.
- 講演企画委員会…関東地区での春季大会運営のあり方について,特に気象庁での大会運営のための受け皿作りと手法を確立する必要がある.ポスターセッション,分科会形式の大会が定着してきてはいるが,問題がないわけではない.分科会について言えば,あまり専門的過ぎると対象者が限られるし,逆に一般的過ぎる一般講演と違わないといった問題があり,ひと工夫が必要である.
- 総合計画…地球環境問題への取り組みのような長期課題の検討,気象技術講習会のような教育や気象学の普及に関係する事項,定款改訂にともなう総会成立のための方策の検討ほか,その時々の学会の抱える問題・課題に幅広く対処していく必要がある.
- 教育と普及…夏季大学のあり方の検討,学校における気象教育のあるべき姿の検討,マスコミにおける「気象情報番組」など社会教育の場での気象教育の普及のあり方の検討が必要.
- 学会賞候補者推薦委員会…推薦が少ないという問題があるとの報告があった.このことに関して,議論が行われた.推薦してもらえるような人は忙しくて,必要な書類を準備したりする時間的余裕がないのではないか.特に,推薦に必要な論文リストを作るために論文検索を行うことなどは,時間を要する.これについて,論文を網羅する必要はないのではないか,主要な論文があげてあれば良く,極端にいうと一編の論文でもそれが非常に優れているなら良いのではないか.一方,確かに推薦のために時間が取られて大変であるが,労を厭わず,積極的に立派な業績を拾い上げていく必要があるといった意見も出された.
- 藤原賞候補者推薦委員会…今期は比較的順調に推薦候補があがってきたが,来期も引き続き候補者が多くあがるように努力する必要がある.「天気」への推薦案内記事を,学会賞と時期をそろえて載せるといいのではないかと考えている.
- 山本・正野論文賞候補者推薦委員会…推薦件数が少ないという問題がある.選定規定には記述されはいないが,候補者について35才程度を目安とした年齢制限がある.しかし,この制限は厳しいのではないかと考えている.研究分野を方向転換して新たな分野で優秀な論文を発表する場合もあり,年齢制限を緩めることを検討してもよいのではないか.
- 堀内賞候補者推薦委員会…推薦件数が少ないという問題がある.選定規定にある,境界領域・隣接分野,未開拓分野という賞の性格付けがわからなくなってきている.気象学が広がりを持ってきて,農業気象など以前は応用分野・周辺分野であったものが発展して,現在では気象学のメインの研究分野のひとつになってきている.また,学問が発展し,未開拓分野が減ってきたとの報告がなされた.これに関して,候補者推薦にあたっては,「主たる活動分野が他の分野(学会)の人でパイオニア的な研究を行った」ということが一つの目安になるのではないかといった議論がなされた.
- 奨励賞受賞候補者推薦委員会…推薦・応募数の少ない状態が続いているが,その原因が何なのか,分析できていない.忙しいのか,敷居が高いのか,あるいは学会に関心が無いのか,明らかにしてそれに応じた対策を考える必要がある.良い研究活動が行われても,奨励賞候補者としての推薦や学会誌への投稿に結びつかない傾向がある.学会として,研究を本務としない会員に向けた受け皿を整える必要がある.
- 学会外各賞候補者推薦委員会…選考委員会の開催時期について各賞の締め切りを考慮すること,また各賞の特徴に会わせた選考をはかることに留意する必要がある.
- 国際学術交流委員会…学会として援助する場合と国際学術交流として援助する場合の基準が必ずしもはっきりしておらず、明確化が必要である.
- 電子情報委員会…課題として,メーリングリストの管理運営,気象庁気象データの有効利用、電子図書館サービスへの対応などがある.また,ホームページ担当者の管理運営の負担が大きいので,アルバイトをつけて作業の軽減をはかる必要がある.
- 用語検討委員会…今期の委員会では個々の用語の検討は行わず,用語・訳語に関して,どんな混乱があるかのか,何故,何の目的で,誰の為に,必要かなどについて議論し,「今後の方針について」の提案を行った.この内容は既に常任理事会に報告し、現在天気に投稿中である.次期理事会へ引継ぎ、具体的作業を本格的に行う必要がある.
- 第30期理事長挨拶
第30期理事会における学会運営については、おおむね順調に進んだと考えており,ご努力頂いた理事・各委員会の皆さんに感謝申し上げる.
第30期においては,文部省の指導に対応するために,総会の成立条件にかかわる定款の改訂を行なった.総会成立のために,以前は通常会員総数の1/5以上の出席があればよかったが,この改訂により過半数以上の出席が必要となり,大変厳しい状況となった.このため,昨年から,総会成立へ向けた様々な対策を取ってきた.そのお陰もあり,今年の総会では約3/4の会員から総会参加票を回収できた.しかし,厳しい状況は,今年限りのことではない.来年以降も総会成立のために努力を続ける必要がある.
第30期においては,学会と外部との接点ということに重点をおいた活動を行ってきた.気象学会の活動は,気象学の発展に寄与することが第一の目標であるが,学会内に閉じたものではなく,気象教育や社会への貢献などを通じて外とのつながりも重要である.このことを考慮して、第30期では,大きく分けて3つの分野の方々に評議員をお願いした.一般社会とのつながりということでマスコミ・予報士会関係の方々,そして地学教育関係の方々,地震・海洋・天文といった関連学会の方々である.評議員会での議論において気象学と社会との接点として地球環境問題が浮かび上がった.そこで,地球環境問題検討会を作って,検討してもらっているところである.第31期においても,引き続き地球環境問題について検討を行っていく必要がある.
今日の議論の中で,学会の各賞について推薦の問題があがっていたが,立派な業績についてはそれを拾い上げる努力をすることが必要である.そのことによって,学会としての方向を示していく必要がある.学会運営について,今後研究の中心を担っていくであろう若手の活躍に期待をしたい.
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