日 時
2007年5月14日(月)14時30分〜16時20分
場 所
国立オリンピック記念青少年総合センター大ホール(東京都渋谷区)
参加者数
通常会員の会場出席者99名,総会参加票のうち有効票による出席者596名,合計 695名.(通常会員現在総数1,096名(2007年4月11日現在))
総会成立の要件:通常会員現在総数の過半数以上の出席がなければ成立しない. ただし,総会に出席できない通常会員で,当該議事につき他の出席通常会員に表 決を委任した者,および書面によって決議に参加した者は出席とみなす.(定款 第38条)議 事
- 開会
多田英夫庶務担当常任理事より総会成立の要件を満たしていることが報告され, 総会の開会が宣言された.
- 議長選出
総会議長に中島映至会員(東京大学)を選出した.
- 理事長挨拶
新野宏理事長から次のような挨拶があった.
逝去された木田前理事長の後任をお引き受けし,重責に身の引き締まる思いであ る.気象学会の発展のため微力ながら努力する所存なので,皆さまのご協力・ご 支援をお願いしたい.私は歴代の理事長のような卓抜した視野や判断力はないが, 理事や会員の皆さまのご意見を聞き,会員の目線に立った学会運営を心掛けたい.
今年の“天気”の巻頭言でも触れたように,気象学会の抱える問題は多々ある. それらについて述べたい.
まず,会員数減少の問題がある.当学会の会員はここ数年で1割ほど減ってお り,学会の活動や運営に与える影響が大きいので分析が必要だ.大気科学に興味 を持つ若手が減っているのではないかと危惧している.“気象”等の雑誌の廃刊 もあり,社会に対する啓発の必要性を感じる.当分野に興味を持つ人への学会と しての窓口を持ち,様々な情報を提供する必要があると考えている.
若手の問題については,3月の評議員会で研究者の雇用問題を取り上げ,現状 把握が大事であるとの提言をいただいた.これを受け,研究者の就職後の追跡調 査を行うこととしている.研究環境の面では,大学の法人化による様々な影響に ついて十分に検証することが大事と考えている.
次に,新公益法人制度の下での公益社団法人への移行という課題がある.関連 法規は昨年6月に公布され,来年に予定される施行後5年以内の対応が求められ ている.移行に係る数々の要件をクリアするため,学会内に検討作業部会を設置 したところであり,円滑な移行に向け準備したい.
最後は,気象データの利用に関してである.従来,気象庁の保有するデータを 研究に利用することには多くの困難があった.このため,当学会と気象庁との間 で包括的な共同研究契約を締結することについて検討を進め,総会議案として提 示するに至った.是非ご議論いただきたい.
以上,当学会を取り巻く状況には様々な課題があるが,大気科学は興味深く且 つ魅力的な学問であり,環境や防災といった社会的課題に対する基礎的な役割を 果たすものと考える.会員や一般の人々,また今後この分野に進まれる方々にとっ て魅力的な学会となるよう努力したい.
- 表彰
- (1)学会賞
学会賞候補者推薦委員会担当の中島映至常任理事が選定理由を説明し,新野理 事長から受賞者に賞状並びに賞金・メダルが授与された.受賞者と,受賞対象と なった業績は以下の通り.
杉正人(気象庁気象研究所)
全球数値予報モデルの開発とそれを用いた気候予測に関する研究佐藤正樹・富田浩文(海洋研究開発機構)
準一様格子を用いた全球雲解像大気モデルの開発とそれによる熱帯対流雲集団の シミュレーション
- (2)藤原賞
藤原賞候補者推薦委員会担当の藤谷徳之助常任理事が選定理由を説明し,新野 理事長から受賞者に賞状並びに賞金・メダルが授与された.受賞者と,受賞対象 となった業績は以下の通り.
石廣玉(中国科学院大気物理研究所)
大気環境に関する日中共同研究の推進木田秀次(京都大学名誉教授)
数値モデルによる気象学及び気候学研究の推進と日本気象学会の運営への貢献
- 2007年度総会議案審議
- (1)提案説明
- 議案1:2006年度事業報告
- 多田英夫庶務担当常任理事から,会員数の減少がここ数年で最も少なかったこと, 普及活動でサイエンスカフェを実施したこと,第2回日中韓気象学会共催シンポ ジウムを韓国で開催したこと,また気象研究コンソーシアム検討委員会を設置し たこと等の事業報告があった.
- 議案2:2006年度収支決算報告
- 板東恭子会計担当常任理事から,公益・収益会計それぞれ308万円,290万円の黒 字で,全体で598万円の黒字だったこと等が報告された.
- 議案3:2006年度監査報告
- 高野功監事から,帳簿類の管理,収支,会員数の動向,創立125周年記念事業 の実施等に関する監査結果が報告された.
- 議案4:2005年度収支決算報告の一部訂正について
- 板東恭子会計担当常任理事から,2006年10月の文部科学省の実地検査で,2005年 度収支決算報告に対して幾つかの不備が指摘され,訂正の上で会員に承認を受け るよう指導があったことが説明された.具体的な訂正内容として,減額した固定 資産の補填,固定資産から流動資産への振替,また地方債購入時の額面価格と購 入価格の差の取り扱いや,退職引当金の利子或いは預金解約手数料の取り扱いの 不備により生じた帳簿上の誤りを訂正したことが報告された.
- 議案5:理事の補充及び辞任に伴う後任の推薦について
- 新野宏理事長から,木田前理事長の逝去により1名の欠員となっている全国区理 事について,住明正会員(東京大学)を推薦すること,及び理事の辞任に伴い各 支部から推薦された後任候補者についての提案があった.
- 議案6:共同研究「気象庁データを利用した気象に関する研究」契約の締結につ いて
- 岩崎俊樹気象研究コンソーシアム検討担当常任理事から,気象庁との間で標記研 究契約を締結することについての提案があり,合わせて共同研究契約書の案及び 運営委員会の構成と運営委員会規定の案について要点が説明された.
- 議案7:2007年度事業計画(案)
- 多田英夫庶務担当常任理事から,従来の事業に加え,設立125周年記念事業を実 施すること,秋季大会を北海道で開催すること,惑星大気研究連絡会の新設,第 3回日中韓共催の国際シンポジウムを中国・北京で開催すること,加えて気象研 究コンソーシアムに係る計画を推進すること等の事業計画が提案された.
また資料に記載されていないこととして,サイエンスカフェ等の教育普及活動に ついて,地方支部での開催も含めて充実させていく計画であること等が説明され た.
- 議案8:2007年度収支予算(案)
- 板東恭子会計担当常任理事から,125周年記念事業を除く事業収支は,2006年 度の実績を勘案しながら収支がほぼ均衡するように計画したこと,125周年記念 事業のための積立金を取り崩し,関連科目に経費を計上したこと,また事務局等 の借料の値上げに伴い,管理費の事務局関連経費に必要額を計上したこと等が説 明された.
- (2)質疑応答
- ● 議案2について,2-2表と2-4表のそれぞれの収益会計に記載されている事 業費の数値が違う理由について質問があった.これに対し板東常任理事から,数 値の違いは在庫等の資産の増減分を正味財産に繰り入れた影響によるものであり, 各項目の積算の誤りではないが,内訳の詳細については確認の上で別途回答する との説明があった.更に議案2の数字は議案4の修正を反映しているのかとの質 問があり,全て反映しているとの回答があった.
- ● 議案1に関して,国際学術研究集会の参加補助の上限額や適用範囲の拡大につ いて検討して欲しいとの要請があった.これについて多田常任理事から,当予算 の執行率は上がってきているが,より有益に運用できるよう国際学術交流委員会 を中心に検討を深めたいとの回答があった.
- ● 議案6について,気象業務支援センターで扱っているようなデータや,数値予 報研究以外の目的でのデータの利用は可能かとの質問があった.これに対し岩崎 常任理事から,この仕組みは支援センターのように情報公開法に則った経費負担 を要するデータ利用の仕組みではなく,共同研究の枠組みを採用することによっ て無料でデータを利用できるようにしたものであること,また現時点で利用でき るのは数値予報データが中心だが,今後,研究契約の第1条(3)にあるような 分野の研究を進めるため,気象庁側と発展的協議を続けていくとの回答があった.
- ● 同じく議案6について,運営委員会規定(案)第6条の第1項と第2項は,報 告義務の有無について相反しているようだとの指摘があったのに対し,岩崎常任 理事から,第1項は申請者の報告,第2項は運営委員会の報告であり相反するも のではないとの回答があった.更に参加申請書の第4項について,使用したいデー タがあれば要望できるのかとの質問があり,当面は現在利用できる範囲で申請し ていただくことになるが,今後検討を進めたいとの回答があった.
- 採択
議案1〜8について,有効総会参加票(下記註)も含め以下のように賛成多数で 承認された.
議案1:賛成 694,反対 1,保留 0 議案2:賛成 694,反対 0,保留 1 議案3:賛成 695,反対 0,保留 0 議案4:賛成 694,反対 0,保留 1 議案5:賛成 692,反対 0,保留 3 議案6:賛成 684,反対 0,保留 11 議案7:賛成 691,反対 0,保留 4 議案8:賛成 692,反対 0,保留 3〔註〕有効総会参加票(596票)で全ての議案に賛成の384票及び議長が全ての議 案に賛成したため議長委任分の199票を賛成に繰り入れた.議案ごとの賛成・反 対・保留の表明は13票.
- 議事録署名人の指名
議事録署名人に木本昌秀会員(東京大学)と高薮縁会員(東京大学)を指名した ところ,異議なく承認された.
- 議長解任
中島映至議長により,総会の議事運営に関する出席者の協力に感謝する旨の挨拶 があり,議長は解任された.
- 閉会
多田英夫庶務担当常任理事により総会の閉会が宣言された.
以上の議事録の通り相違ありません.
平成19年6月18日
総会議長 中 島 映 至 印
出席者代表 木 本 昌 秀 印
出席者代表 高 薮 縁 印