日本気象学会2008年度総会議事録
日 時
2008年5月19日(月)13時30分〜15時20分
場 所
横浜市開港記念会館講堂(神奈川県横浜市)
参加者数
通常会員の会場出席者87名,総会参加票のうち有効票による出席者598名,合計 685名.(通常会員現在総数1,118名(2008年4月11日現在))
総会成立の要件:通常会員現在総数の過半数以上の出席がなければ成立しない. ただし,総会に出席できない通常会員で,当該議事につき他の出席通常会員に表 決を委任した者,および書面によって決議に参加した者は出席とみなす.(定款 第38条)議 事
- 開会
多田英夫庶務担当常任理事より総会成立の要件を満たしていることが報告され, 総会の開会が宣言された.
- 議長選出
総会議長に時岡達志会員(海洋研究開発機構)を選出した.
- 理事長挨拶
海洋研究開発機構と防衛大学校の尽力により,気象学会としてはじめて横浜で 大会を開催できた.実行委員会をはじめ関係者の努力に感謝する.本大会は466 件の発表があり活発な議論が行われていることを嬉しく思う.昨年,気象学会は 創立125周年を迎えた.新たな気持ちで活動していくに当たり喫緊の課題につい て述べたい.
まず,公益社団法人への移行の問題がある.これに係る新法は今年12月に施行 される.気象学会が社団法人として活動する上で公益認定は不可欠であり,学会 内に検討グループを発足させて昨年度より議論を進めてきた.今後定款の変更や 地方支部会計の本部統合という重要な課題があるので,皆様のご協力をお願いし たい. 次に,地球惑星科学連合との連携という課題がある.連合においても法人化に 向けた議論が進んでおり,近く基本的な方向性が提案される.気象学会は連合の 活動に積極的に協力する方針だが,一方で天気予報や局地気象など本学会に独自 の分野も多いので,気象学会としてのアイデンティティを明確に保ちながら活動 を行っていきたい.このため気象学会の現状分析や将来ビジョンについて,第35 期の理事会で早急に検討を深めたい.
また若手研究者の待遇の問題もある.気象学会では,PD(postdoctoral fellow;博士研究員)の現状を把握するため,日本学術会議IAMAS小委員会と合 同で3月に大規模なアンケートを行い,約320名から回答を得た.集計結果を “天気”で報告することに加え,提言としても取りまとめたい.
なお,気象の分野でも団塊の世代の退職という現実がある.より幅広い方々に 引き続き興味を持って活躍いただける学会活動を行っていきたい.幅広い活動と いう点では,気象予報士会との連携も強化していきたい.加えて“天気”に「調 査ノート」欄を新設したように,様々な会員に投稿いただける工夫も続けていき たい.
7月に洞爺湖サミットが開催されることもあり地球温暖化に対する関心が高まっ ているが,一般への理解を深めることは容易ではない.ミャンマーのサイクロン についても,気象の知識を普及できていれば被害を幾分でも軽減できたとの思い も強い.大気科学は社会の要請により行われている気象業務で得られたデータを 基礎研究の拠り所としている面もあるので,基礎研究の成果に基づく知見を広く 一般社会に還元していくことも必要と思われる.様々な分野・現場における学会 員の活躍に期待するところである.
- 表彰
- (1)学会賞
学会賞候補者推薦委員会担当の中島映至常任理事が選定理由を説明し,新野宏理 事長から受賞者に賞状並びに賞金・メダルが授与された.受賞者と,受賞対象と なった業績は以下の通り.
岩崎俊樹(東北大学)
温位面上での質量重み付き帯状平均を用いた大気大循環の研究青木輝夫(気象庁気象研究所)
積雪の光学特性とリモートセンシングに関する研究
- (2)藤原賞
藤原賞候補者推薦委員会担当の藤谷徳之助常任理事が選定理由を説明し,新野宏 理事長から受賞者に賞状並びに賞金・メダルが授与された.受賞者と,受賞対象 となった業績は以下の通り.
松本誠一(元気象庁気象研究所)
日本における豪雪・豪雨等のメソ気象学の総合的研究の推進廣田 勇(京都大学名誉教授)
中層大気力学研究の推進並びに大気力学研究者の育成及び日本気象学会の運営へ の貢献
- 2008年度総会議案審議
- (1)提案説明
- 議案1:2007年度事業報告
- 多田英夫庶務担当常任理事から,会員数の減少が続いており他団体との連携等の 取り組みが必要なこと,学会創立125周年にあたり記念出版や過去論文のアーカ イブを行ったこと,第3回日中韓気象学会共催シンポジウムを中国で開催したこ と,気象学会の刊行物を収録したDVDを刊行したこと,また気象研究コンソーシ アムのデータ提供の本運用を開始したこと等の事業報告があった.
- 議案2:2007年度収支決算報告
- 板東恭子会計担当常任理事から,公益・収益会計それぞれ628万円,15万円の赤 字で,全体で643万円の赤字だったが,理由として創立125周年記念事業による約 900万円の支出という単年度要因の影響があること等の決算報告があった.
また2007年度収支予算書の公益会計に,125周年関連経費の取り崩し分を次年 度繰越金に二重計上する誤りがあったことが報告され,訂正内容及び点検体制の 強化に係る説明があった.
- 議案3:2007年度監査報告
- 北川裕人監事から,帳簿類の管理,収支,会員数の動向,125周年記念事業の実 施等に関する監査結果が報告された.
2007年度収支の赤字について,125周年記念事業という単年度要因を考慮すると 実質的に黒字であるが,公益法人移行対応に伴う事務経費の増大も予想されるの で引き続き収支には注視が必要とされた.また会員数の漸減について,気象予報 士会への働きかけや教育普及活動等の努力を継続する必要があるとの指摘があっ た.
- 議案4:日本気象学会第35期役員選任について
- 新野宏理事長から,第35期役員候補者選挙における当選者並びに当選者の推薦に よる理事候補者,加えて地方区理事当選者の辞任に伴う追加推薦者について説明 があった.
- 議案5:第34期日本気象学会名誉会員候補の推薦について
- 藤谷徳之助名誉会員推薦担当常任理事から,5名の候補者及び推薦理由の説明が あった.
- 議案6:2008年度事業計画(案)
- 多田英夫庶務担当常任理事から,従来の事業に加え,新公益法人制度の下で 2010年度に公益社団法人の認定申請を行うことを目標に必要な準備を始めること 等の事業計画が提案された.
- 議案7:2008年度収支予算(案)
- 板東恭子会計担当常任理事から,事業活動収支については2007年度における125 周年記念事業を除く事業活動収支の実績及び印刷費等の入札結果を勘案しながら, 当期収支が均衡するよう計画したこと,また管理費について,事務局の体制強化 に伴う人件費の増額,事務局借料の改定に伴う増額を計上したこと等が説明され た.
- (2)質疑応答
- 総会参加票について,議案に対する賛成・反対や意見を,記名のはがき(不特定 多数が内容を見ることができる状態)で返信することは,情報保護の観点から問 題があるとの意見があった.これに対し新野宏理事長から,現在は経費の問題も あり封書で集約していないが,今後は情報保護のための方策を講じていきたいと の回答があった.
- 採択
議案1〜8について,有効総会参加票(下記註)も含め以下のように賛成多数で 承認された.
議案1:賛成 685,反対 0,保留 0 議案2:賛成 684,反対 0,保留 1 議案3:賛成 685,反対 0,保留 0 議案4:賛成 681,反対 2,保留 2 議案5:賛成 683,反対 2,保留 0 議案6:賛成 682,反対 0,保留 3 議案7:賛成 683,反対 0,保留 2〔註〕有効総会参加票(598票)で全ての議案に賛成の324票及び議長が全ての議 案に賛成したため議長委任分の231票を賛成に繰り入れた.議案毎の賛成・反対・ 保留の表明は43票.
- 報告
藤谷徳之助総合計画担当理事から,会場配布資料に基づき以下の2点について説 明があった.なお,これらに係る会場からの質問等はなかった.
- (1)公益法人移行について
- 公益法人改革の背景,新公益法人制度の概要,気象学会の対応方針等が説明され, 2010年度の公益社団法人移行の申請に向けたロードマップが示された.また公益 法人移行の要件となる支部会計の本部会計への統合に係る試案(基本方針及び具 体的な統合方法)が説明された.
- (2)地球惑星科学連合の法人化の動きについて
- 連合が公益法人化を目指していることに関して,組織の現状,連合の「将来構想 委員会」の中間答申の内容に基づく法人化計画の概要が説明され,これに対する 気象学会の対応等についての理事会の基本的な考え方が説明された.
- 議事録署名人の指名
議事録署名人に近藤洋輝会員(海洋研究開発機構)と河宮未知生会員(同)を指 名したところ,異議なく承認された.
- 議長解任
時岡達志議長により,総会の議事運営に関する出席者の協力に感謝する旨の挨拶 があり,議長は解任された.
- 閉会
多田英夫庶務担当常任理事により総会の閉会が宣言された.
以上の議事録の通り相違ありません.
平成20年6月16日
総会議長 時岡 達 志 印
出席者代表 近藤 洋 輝 印
出席者代表 河宮 未知生 印
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