「どのような選択も、必ずや新たな経験や人との出会いにつながり、道を開いてくれます。」
Q. 学部・大学院での専門
気候学・自然地理学/ 博士(理学・首都大学東京)
Q. 過去の研究履歴(略歴など)
東京都環境科学研究所 非常勤研究員:東京都の気温・湿度データの解析(都市気候研究)
海洋研究開発機構 特任技術主事:フィリピンの気象観測データのデータレスキューと解析
首都大学東京 都市環境学部 特任助教→助教:フィリピンにおける降水量変動解析
Q. 現在の専門分野(仕事の内容)
卒論の時にフィリピンの雨季入り・雨季明け時期の変動と熱帯の大気-海洋相互作用との関係についての研究を始めました。フィリピンでは19世紀後半~20世紀前半にかけてスペイン、アメリカ、日本により気象観測が行われていたので、現在は、各地にあるこれらの気象観測記録を収集し解析に利用しています。これにより、フィリピンの降水量変動を100年スケールで明らかにすることを目指しています。また最近では、首都圏における気温変動の地域特性(都市気候研究)や、江戸時代末期以降に東京で書かれた日記の天候記録から、当時の気候を復元すること(歴史気候研究)にもチャレンジしています。
大学に勤めているので、調査・研究の他に、気候学や自然地理学の講義、ゼミでの卒論指導も行っています。
Q. この分野に入ったきっかけ
空模様の変化を眺めたり、空の写真を撮ったりすることが好きだったので、気象学・気候学を学ぶことが出来る地理学科に進学しました。今でも、空は身近にある最も美しいものだと思っています。
Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ
データを解析し、その結果を図化するときにワクワクします。思ってもみなかった特徴が図に現れていた時には驚きと共に、その理由をさらに調べてみたいという気持ちになりテンションが上がります。同じ分野の研究者との出会いが、世界中にあることも魅力です。 大学で卒論指導を行うようになってからは、学生が様々な研究テーマを持ってくることにも面白さを感じています。様々な場所で学生達と気象観測をする機会も増え、学生のおかげで研究の幅も広がっています。
誰かに言われたことをやるばかりではなく、研究テーマを見つけ、自ら計画し、調査・研究を行える(実現できる)点もおススメです。
Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)
調査・研究、教育以外の仕事がたまり、うまく時間を使えていない時には辛く感じます。そのようなときは、空をぼんやり眺めたり、家族や友人とおしゃべりをしたりしてリフレッシュしています。また、しっかり睡眠をとると、たいてい翌日にはスッキリしています。
Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味
ピアノやトランペットの演奏(頭が空っぽになって良い)。寄席に行って落語を聞いて、思い切り笑うこと(研究に大切な想像力も養われます。たぶん)。
Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス
共働きなので家事の分担は決めず、気がついた方 or 気になる方がやることにしています(私は気にならない方なので、サボっています)。休日にはメールチェックをしない時間帯を作りたいのですが、なかなかうまくいきません。
Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ
進路選択の時には、将来のことを色々と考えて悩むことも多いと思いますが、自分の気持ちに正直になって、思い切ってやりたい道を選択しても良いのではないでしょうか。後から考えてみてその選択が多少のまわり道や寄り道だったとしても、若い時なら損はしません(むしろ真っ直ぐ進むよりも得ることが多いかも)。自ら決めたことなら後悔もありません。そして、どのような選択も、必ずや新たな経験や人との出会いにつながり、道を開いてくれます。私もそうでした。