「いつも自分がその答えに納得していることが大切です。」
Q. 学部・大学院での専門
農業気象学、気候学/博士(理学、筑波大学)
農業経済学/修士(学術、筑波大学)
Q. 過去の研究履歴(略歴など)
海洋研究開発機構: 技術員
農業環境技術研究所: ポスドク、任期付研究員
マギル大学: Visiting Scholar
Q. 現在の専門分野(仕事の内容)
・世界の農業生産における気候変動リスクの評価、適応コストの推計
・季節予報を利用した世界の作物収量変動の予測
・気候モデルデータのバイアス補正、統計的ダウンスケーリング
Q. この分野に入ったきっかけ
農学系の修士課程を修了して青果物の卸売市場で働いていた時に、日々の天気で野菜の出荷量が変動したり、スイカの在庫の山ができたりして、天気と農業の関係をより深く理解したいと思いました。研究職に転職しようと博士課程に編入学したのが、この分野に入ったきっかけです。
Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ
現代においても、農業は生産と気候・気象が密接に結び付いた産業です。作物の栽培様式には気候リスクを回避・克服するための先人の工夫が至るところに見られます。データ解析をしていて、ふとした拍子にそうした工夫を再発見することがあり、人間は偉大だなあと感じます。
Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)
博士課程に編入学した時点ではFortranを使えませんでした。半年後にはアメダスデータを空間内挿してグリッド化できるようになりましたが、その間は毎週2回、徹夜しました。先が見えないなりに計画を立てて、ゴール(この時は学位取得)に辿り着くという研究スタイルがこのとき身に付きましたが、今でもとても役に立っています。
Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味
運動不足になるので走っています。やっと大会で10kmを完走しました。夏は走る代わりに妻の家庭菜園を手伝っています。
Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス
フレックスで出勤時間が早いので、朝は育児・家事を妻に頼み、その代わりに、夕方以降、食事の支度、子供の世話、洗濯を担当しています。
Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ
世の中には研究より大切な仕事がたくさんありますし、そうした仕事の中には研究よりも自分に適した仕事があるかもしれません。それでも、なお、進学(研究)することを選ぶのはなぜでしょうか? 答えは人によって違いますし、時間と共に変わりますが、いつも自分がその答えに納得していることが大切です。
Q. 民間経験・海外経験
研究職は事務職などに比べて多少、時間的な融通がききますが、そう特殊な仕事ではありません。研究所でも上司や同僚への報告・連絡・相談(いわゆる、ホウ・レン・ソウ)が欠かせない点は他の職種と同じです。一人で黙々と論文を書く時間もありますが、それだけが研究職の仕事ではないことを忘れずに(自戒を込めて)。