「自分が納得いくまで考え、作品(≒論文)を作り上げること。美術作品をつくる楽しさと似ている」
Q. 学部・大学院での専門
気候力学、異常気象/博士(理学、東京大学)
Q. 過去の研究履歴(略歴など)
東京大学大学院理学系研究科: 特任研究員
ハワイ大学国際太平洋研究センター: ポストドクトラル・フェロー
カリフォルニア大学スクリプス海洋研究所: プロジェクト・サイエンティスト
Q. 現在の専門分野(仕事の内容)
数週間から数十年の気候変動のメカニズムや、それによって起こる異常気象や地球温暖化との関係を、データ解析や数値シミュレーションを通して研究しています。
Q. この分野に入ったきっかけ
こどもの頃から自然科学、特に宇宙とか理論物理に興味を持っていましたが、中学生になった頃から温暖化が叫ばれるようになって気象学にも関心を持ち、どうせなら人の役に立つ科学を、と選びました。
Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ
一見すると混沌としたデータの海の中から、何かと何かをつなぐ関係性や法則を見いだし、イメージを組み立てていくこと。 自分が納得いくまで考え、ブラッシュアップを重ねて、作品(≒論文)を作り上げること。美術作品をつくる楽しさと似ていると思います。
Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)
雑用のため時間が細切れになって、一つの研究テーマに集中する時間がなかなかとれないこと。 論文を読むのが遅いのに、読まなければいけない論文が指数関数的に増えていくこと。 解決できていませんが、速読術や集中力を高める技術を身につけて、一つ一つのタスクをもっと効よくこなせるようになりたい!
Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味
映画、コンサート(主にロック)、美術館、寄席、舞台などを見に・聴きに行くこと。
Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス
可能な限り夕食は家族と一緒に食べるようにしています。その代わり、家事が済んだ後に持ち帰った仕事をしていますが。
Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ
自分が本当にやりたいことを知るためにも、卒論や修士課程で思い切り研究に没頭してみてください。 また、博士課程を終えた先輩などいろいろな人に話を聞いてみてください。 思ってもみなかったような専門知識の活かし方に気づくかもしれません。
周囲のいろいろな期待はあるかもしれませんが、誰もあなたの将来を保証してくれないでしょうから、最後は自分がどうしたいかです。
Q. 民間経験・海外経験
アメリカで計5年間、研究員として勤務しました。欧米の研究者は議論や質問が上手だと感じます。 アメリカでは上司でもファーストネームで呼ぶなど上下意識が希薄でより対等な人間関係に近いことや、日本の争いを好まない文化も背景にあるでしょうが、欧米では人の考えや仕事を批判することと相手の人格を否定することとがはっきり区別されているのだろうと思います。