齊藤雅典

昨日の自分よりも今日もっと努力しましょう

齊藤雅典


ワイオミング大学大気科学科 テニュアトラック助教授

Q. 学部・大学院での専門

大気物理学・大気放射学 / 博士(理学) 東北大学

Q. 過去の研究履歴(略歴など)

東北大学 大気海洋変動観測研究センター 教育研究支援者:気象衛星による雲のリモートセンシング 

テキサスA&M大学大気科学科 ポスドク・助研究員:リモートセンシング手法の開発・光散乱問題の理論研究

Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

航空機リモートセンシングを軸として、雲の物理過程を観測的に調べています。また、そのためのリモートセンシング手法の開発・改良にも取り組んでいます。大学では大気放射学や衛星リモートセンシングを教えています。

Q. この分野に入ったきっかけ

子供の頃から気象予報士になりたくて、気象を学べる大学を受験しました。学部の授業で大気物理学とリモートセンシングと出会い、その面白さから(学部時代に予報士試験を4回落ちたという経緯もあり)その道を志すようになりました。その後しばらく衛星リモートセンシング分野に従事していましたが、(大気物理学の更なる進歩のために)一念発起して航空機リモートセンシング分野に入りました。

Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

自然科学において真理に近づこうとする行為は、データを通した自然との対話に他なりません。研究では答え合わせをすることが難しいので、数々の証拠を繋ぎ合わせて、過去の研究と照らし合わせて辻褄が合ってようやく一つ先の理解に到達できます。研究に没頭している時間は、清らかで、刺激的で、それが研究の主な魅力だと思います。教員としては、学生さん達が一人前の研究者に成長していく過程を、支援し間近で見届ける事ができる点が大きな魅力に思います。

Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

中々結果が出ず、試行錯誤の日々こそ研究の醍醐味なので、それを楽しむようにしています。「研究がスムーズに進んでしまうようなテーマは、それほど重要でなく退屈なこと」と(不躾ながら)言い聞かせて自分を奮い立たせています。とはいえ、綺麗事を言っても仕方がないので、私の場合は挑戦的なテーマと“ある程度計算がつく“テーマの両方を持つようにして、自身の精神的な健康を保っています。

Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

散歩・ハイキング・冬スポーツ・料理・子供と遊ぶ

Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

毎日必ず家族一緒に朝食と夕食を摂るようにしています。家族の幸福度を最大化できるように、その範疇で仕事に時間を振り分けて、仕事と家庭のバランスを保つようにしています。自分の趣味は、なるべく家事や育児と重なるような事を選んでいます。

Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

人生は一度きりです。自分に正直に、後悔のないように生きましょう。人生の安定のために進路選択で悩む人も多いかもしれませんが、最適な進路選択はそれほど重要ではなく、選択した後にどれだけ”正しい努力”をして知識やスキルを獲得し成長し続けられるかが大事であるように思います。努力に対して表れる結果は非線形ですが、人生に対しては線形に働きます。途中で進路を再選択しても、努力をしている限りそれがユニークなキャリア軌跡となって、自身の人生にプラスに働くでしょう。え、それでも将来が不安だって?まずは昨日の自分よりも今日もっと努力しましょう。それを続けていけば、いずれその不安は確かな自信に変わることでしょう。自転車だって、漕ぎ続ければ安定しますよね?それなら行きたい方向に行きましょう。

Q. 民間経験・海外経験

大学院修士課程から数えると、日本で計4年半、米国で(博士時代の研究留学も含めて)計8年弱ほどの研究歴があります。日本は研究テーマの選択の幅や自由度が大きい一方、計算機サーバの管理等、雑務が多い気がします。米国は研究に集中できる環境が整っている一方、研究テーマは基本的にプロジェクトによって決まります。一長一短です。もし、研究者を志すのであれば、早期キャリアの段階で一度は海外現地雇用で研究することをお勧めします。理由は長くなるので直接私に訊いてください。

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