高根 雄也

「挫折を恐れずに思い切ってワクワクする方へ進路選択をしてほしい」

高根 雄也


国立研究開発法人
産業技術総合研究所
環境創生研究部門 主任研究員

Q. 学部・大学院での専門

気象学・気候学 / 博士(理学・筑波大学)

Q. 過去の研究履歴(略歴など)

岡山理科大学 学部生:都市の高温と局地循環
筑波大学大学院 修士・博士課程学生:都市の猛暑とフェーンのメカニズム
国立研究開発法人産業技術総合研究所 研究員→主任研究員:都市気候とエネルギー需要など
レディング大学気象学部 Visiting researcher(日本学術振興会 海外特別研究員):都市気候

Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

都市の気象・気候やエネルギー需要の研究をしています。特に、都市の気候と人間活動との相互作用(ローカルな気候が人間活動にどのような影響を与えて、人間活動が気候にどのような影響を与えているのか)にとても興味があります。このような理学的研究でメカニズム等を明らかにすることによって、メカニズムに基づく具体的な対策を工学的視点で考え・提案したいと思っています。

Q. この分野に入ったきっかけ

曇りがちで天気が変わりやすい(不安定で)ダイナミックな(?)地元島根の気象に興味を持ったことがキッカケです。学生として岡山やつくばでも生活してみて、天気の安定度の高さに驚き、ますます天気に興味を持ちました。その後イギリスでも生活してみて、イギリスの天気が島根の天気とソックリであることを発見し、さらに天気への興味が増しました(少し感動しました)。イギリスの天気は不評だと思いますが、幸か不幸か個人的には馴染みやすかったです。笑

Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

研究テーマに関連する面白さは、人間の普段の生活や習慣が、その地域の気象・気候をローカルに変えている度合いを実感できるところです。また、(自分はまだそこまでできていませんが)研究結果を受けて都市の気象・気候を良い方向に変える具体的手段を提案できるのも(仕事が世の中の役に立っている気がして)魅力的です。さらに、数値シミュレーションの結果が観測とピタッと合うときのエモさは忘れられません(先人の偉業に圧倒されて)。 研究者生活に関連する魅力は、論文発表を通じて社会的遺伝子を残せるところや、論文数や引用数等の数字が増えていく様子を通じて自分のレベルが上がっている感(幻想?)を感じることができるところ、そして、働き方(出勤時間等)が比較的自由なところです。

Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

テニュアトラック期間中、自分のこれまでの研究テーマと組織のミッションとの相性(猛暑やフェーンのメカニズムの研究が、日本の産業発展にどう役立つのか?)について大いに悩みました。この問題は現在進行中ですが、自分の研究の意義を見つめ直し視野と幅を広げる良い機会だと思い、同期や専門外の研究者との交流を大切にしながら日々励んでいます。その他、理不尽な査読コメントにより論文がリジェクトされたときや、各種公募に落ちたときは辛いです。そんな時は、同期や友達、研究仲間と飲みに行き、睡眠をいつも以上にしっかり取り気分転換しています(ただし立ち直るには多少の時間を要します…)。そのような意味でつくばという土地は飲みに付き合ってくださる方々がたくさん身近にいる環境で、本当に助かっています(関係者のみなさん、いつもありがとうございます)。

Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

・猫と遊ぶ。
・猫とリラックスする。
・猫と一緒に寝る。

Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

休日は職場には行かないようして(家でもなるべくリラックス・猫サービスをして)ライフワークバランスをとるようにしています。

Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

修士課程時に博士課程進学/就職で迷い、就活をしてみましたが、あまりうまくいきませんでした。当時はショックを受けましたが、今思うとそれで良かったのだと思います。まだ30年そこそこの人生ですが、このような「挫折→将来その挫折を良かったと思える」のサイクルが続いていくのかな、と思います。なので、学生のみなさんには挫折を恐れずに思い切ってワクワクする方へ進路選択をしてほしいと思います。仮に挫折しても、いつの日かそれでよかったと思える日が来る(そう思える日が来るように頑張れる)のではないかと思います(自分にもそう言い聞かせています…)。

Q. 民間経験・海外経験

長期滞在したレディング大学(イギリス)では、大学教員やMet Officeの研究者、ポスドクだけではなく、PhDの学生の多くが17時過ぎには帰宅する点や、朝と昼過ぎにお茶の時間がある点、それでも論文生産性の高いことなど、日本とは異なる働き方が印象的でした。留学を通じて海外に友達ができた今では、国際学会で友人に再会することや、一緒に仕事をすることがとても楽しみになりました。私生活面では、シェアハウスに入居した場合、シェアメイトガチャに失敗するとプライベードでもリラックスしにくい、というリスクがあるので要注意です…笑(その場合は早々と引っ越した方がよいかもしれません)

Q. もっと知りたい

個人ホームページ: https://staff.aist.go.jp/takane.yuya/
Twitter: @uya_takane