「かっこいい雲を探す」
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尾上 万里子
ストーニーブルック大学 海洋大気科学部 研究員
School of Marine and Atmospheric Sciences, Stony Brook University, Stony Brook, NY, USA
Q. 学部・大学院での専門
気象、環境科学 / 博士(理学・名古屋大学)
Q. 過去の研究履歴(略歴など)
名古屋大学 ポスドク:マルチパラメータレーダー観測・解析
ペンシルバニア州立大学 ポスドク:マルチパラメータレーダー解析、北極域雲の雲物理
マギル大学 いそうろう(無給):レーダーシミュレータ、マルチドップラー解析
ストーニーブルック大学 ポスドク:マルチパラメータレーダー観測・解析、レーダーシミュレータ
Q. 現在の専門分野(仕事の内容)
● 観測機器のメンテナンス:最近所属大学に観測施設がオープンしました。そこに設置された様々な機器(降水量計、レーダー、ライダーなど)のデータチェックやメンテナンスをしています。
● レーダー観測・データ解析:観測したい雲に向けてレーダーを操作したり、観測設定を変更したりします。自分で取得したデータを解析します。
● レーダーシミュレータの開発:数値モデルのアウトプットデータから、レーダーパラメータを計算するソフトウェアを開発しています。
● 雪片自動撮影機の開発:リモートセンシングデータ解析との比較のために、降水粒子(雪片)の写真を撮ります。自分で連続的に撮るのは大変なので、自動で撮影する簡単な機械があれば便利だなと思ってはじめました。
● 雲の写真撮影:かっこいい雲を見かけたらいつでも写真を撮ります。
Q. この分野に入ったきっかけ
中学生の時、職業調べの授業で、気象予報士の資格と職業について調べたこと。当時では比較的新しい国家資格で、興味を持ちました。
でも私は気象予報士資格を持っていません。
Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ
最近おもしろいと感じるのは、研究施設を見学に来た学生たちに自分の研究内容や観測機器などを説明している時に、研究の面白さが伝わり、学生たちが少しでも自分の研究に興味を持ってくれた(と感じる)時です。
Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)
英語力不足もあり、意見がうまく伝わらなかったときが辛いです。
Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味
見晴らしの良いところに出かけて、かっこいい雲を見かけたらいつでも写真を撮ります。
かわいい雪が降ってきたら、ものさし持参でいつでも写真を撮ります。
Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス
決まった時間に起きて、決まった時間に食事をとるようにすると生活リズムが乱れにくい。
Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ
私が博士課程に進もうかどうか悩んでいたとき、多くの先輩から「よく考えたほうがいい」と言われました。「よく考える」とはどうすればいいのかよくわからず、あまり考えずに博士課程に進みました。その後に、「自分で選択したことは、後悔しないように精一杯頑張る(その選択を自分で正解にする)」と言われたことのほうがしっくりきました。多くの人から「よく考えろ」と言われると思いますが、私からは「とりあえず、行動してみてから考えるのはどうでしょうか」と無責任なメッセージを送ります。
Q. 民間経験・海外経験
日本国内で2年働き、アメリカの研究機関で仕事をして6年ちょっとになります。
アメリカでは、研究機関の枠を超えてさまざまな研究機関(ヨーロッパも含む)からの研究者がグループを組んで共同研究しています。
高校生やコミュニティカレッジの学生たちの見学、インターンを積極的に受け入れています。これが、学生の早い段階で気象学に興味を持ってもらうことや、若手育成につながっているのかなと思いました。
研究環境については、日本国内・国外の差よりも、研究機関の差のほうが大きいと思います。何人かの教授それぞれ少数の学生を雇って、クループを組んで研究しているところもあれば、一人の教授が多くの学生を抱えて研究しているところもあります。ファンディングソースも様々です。コンピュータ、事務処理システムも各機関で異なり、所属が変わるたびに戸惑います。