小田 僚子

たくさん悩んだあとは,「何とかなる」と言葉にして,前に進んでいます」

小田 僚子

千葉工業大学 創造工学部
都市環境工学科 教授

Q. 学部・大学院での専門

都市気象 / 博士(工学・東京工業大学)

Q. 過去の研究履歴(略歴など)

情報通信研究機構:専攻研究員 地上リモートセンシングによる大気境界層内乱流現象の検証

Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

大学院生の頃から,大気境界層をキーワードとした研究を続けています.地上気象観測データから,大気境界層の構造変化などについて考察しています.また,気象衛星データを活用したメソ的な視点と,街区内の移動気象観測データによるミクロな視点から,熱ストレス評価に関する研究も行っています.

Q. この分野に入ったきっかけ

小中学生のころに北海道南西沖地震や阪神・淡路大震災が起き,被害の大きさにショックを受けました.そのとき,自然災害の発生メカニズムを明らかにしたいと思ったことが,この分野に進んだきっかけです.自然災害の軽減や社会基盤の整備を担う土木工学分野に進もうと決め,中学卒業後に高専の環境都市工学科に進学し,大学でも土木工学科に編入学しました.日々の生活に密接に関わる自然現象である気象について深く学び,災害軽減や環境問題の解決に寄与したいという思いがありました.

Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

データを解析する過程で,未解明な現象の実態が少しずつ明らかになることです.

教員としては,学生と研究について一緒に悩み建設的に議論することや,そんな学生達が笑顔で卒業・修了して社会に出て行ってくれるときが嬉しいです

Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

博士課程の頃,約20か所の関係機関に観測機器の設置許可をお願いしに回ったのですが,なかなかスムーズには進まず,「観測を出来ないで終わるかも」と,当時の私にとっては辛かったことを覚えています.大人の社会の厳しさを知りました.ただ,真剣に取り組んでいると親身に助けてくれる方も現れ,研究は多くの人の協力の上に成り立っているということを実感し,貴重な経験となりました.今は,研究に打ち込む時間をうまく作ることが出来ないことに,もどかしさを感じています.

Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

甘いコーヒーを飲むことが楽しみです.

最近はエレクトーンを趣味として再び公言できるようにしたいと思っています

Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

平日日中に終わらない仕事をかなり家に持ち込んでおり,切り替えは出来ていません.子供達はそれが当たり前と思っている節があります.仕事・家事・育児のマルチタスクを満足にこなせていませんが,母と夫と子供たち,研究室の学生たちをはじめ周囲の方々の理解と協力で,今を過ごせています.

Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

私は結構慎重というか心配性で,日常の些細な場面でもよく悩んでいます.悩みすぎて自分自身で疲労を倍増させてしまうのですが,ある程度悩んだら,あとはもう「何とかなる!」と声に出して推進力を高めています.

どんな進路でも,これで良かったのかと悩むことはあると思いますが,一つの事実でも,見方次第で世界は変わります.いっぱい悩んだあとは,その時の自分の気持ちを信じて進んでみると,きっと何とかなります.