林田 佐智子

女の前に道はない。女の後ろに道はできる

林田 佐智子


総合地球環境学研究所 教授
奈良女子大学研究院 教授(兼務)

Q. 学部・大学院での専門

環境科学 / 理学博士(名古屋大学)

Q. 過去の研究履歴(略歴など)

国立環境研究所:主任研究員 オゾンライダーの開発・極域オゾンの研究
奈良女子大学:衛星データ解析、大気微量成分の動態研究

Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

総合地球環境学研究所において、Aakashプロジェクトリーダーとして、インドの大気汚染改善のため農業残渣焼却の低減に向けての研究を行っています。インド北西部のパンジャーブ地方では、稲刈りの後に稲藁を大量に燃やし、大気汚染の原因となっています。Aakashはヒンディで空を意味する名前で、藁焼きを減らして青い空を取り戻そうという願いを込めています。
研究の内容詳細はHPをご覧ください。https://aakash-rihn.org
地球研プロジェクトでは気象学だけでなく、学際研究として人文系・農学系・医療系の研究者とも協力して研究を行っています。

Q. この分野に入ったきっかけ

20歳の時に島崎達夫さんの「成層圏オゾンの破壊」の記事を読んだことがきっかけで、地球環境問題に取り組もうと決意しました。現在のプロジェクトでインドをやっているのはヨガにのめり込んだから。

Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

新しい発見があること。達成感を味わえること。

Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

一生、女性だから、がつきまとうこと。昔は「女だからだめ」今は「女だから(委員などを)やれ」。解決策は仏(ほとけ)になることか。

Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

ヨガと紅茶とガーデニング。ヨガ歴15年(ヘッドスタンドもできます)。ガーデニングも趣味ですが今は時間がなくてほとんどできません。定年になったらまた花作りがしたい。家庭菜園も。タイガースファンですが、最近は弱いのでテンション低め(矢野ファンですけど)。

Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

フルタイムの仕事と家事で休み無く生きてきました。出張時の宴会が息抜きでしたが、今はコロナで残念。

Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

「女の前に道はない。女の後ろに道はできる」と女子大で教えてきました。 男の人にも、あなたの後ろに道はできると伝えたい。

Q. 民間経験・海外経験

1991-1992年にかけ、1年間だけでしたが、コロラド州ボールダーにあったエアロノミーラボラトリー(Aeronomy Laboratory)でvisiting scientistとして過ごしました。私の人生で最も楽しかった日々。

Q. もっと知りたい

婚姻により戸籍名は林田ではありません。35年間、選択的夫婦別姓を実践してきましたが、すごく難しいこともたくさんあって、ひとつひとつ頑張って乗り越えてきました(その意味では自分は道を拓いたと思ってます)。今はだいぶましになっているけれど、早く制度として認めてほしいです。