「研究とは科学という物語に自分の名前を刻むこと」
Q. 学部・大学院での専門
気象学,気候力学 / 博士(理学・東京大学)
Q. 現在の専門分野(仕事の内容)
熱帯域の降水量変動や中高緯度域への遠隔影響について調べています。特に,夏季オーストラリアモンスーンの変動とその遠隔影響に着目しています。また,2018年西日本豪雨や2022年トンガ火山噴火による津波の研究をしたこともあり,日頃から興味の幅を広く構えていたいと思っています。
Q. この分野に入ったきっかけ
高校2年の夏休みに,気象研究所で研究体験プログラムに参加したこと,東大のオープンキャンパスで地球惑星科学専攻の展示を見たことが,気象の研究者を目指す大きなきっかけになりました。
Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ
人類が歴史を通して紡いできた科学という物語に,自分がこの世界に生きた確かな証として,名前を刻めること。それが研究の普遍的な魅力だと思います。
Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)
今まで運が良かったのか,研究で辛いと思った経験があまりありません。研究外のほうが辛い出来事が多かったように思います。いずれにせよ,大事なことは,一緒にいると少しだけでも,その時だけでも辛さを忘れられる友人を多くもつことです。悩みを相談できる友人でなくても大丈夫。人に話せる悩みだけとは限りませんからね。
Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味
お酒を飲むこと,野球を観ること,アイドルを推すこと。横浜ベイスターズの応援を通して培われた,思うようにならないことへの耐性は,研究にも生かされているかもしれません。
Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス
怠惰な人間なので,とにかく研究のモチベーションが高まったときに集中して研究することが,最も効率が良いと感じています。ただ,最近は休日にはなるべく研究から離れるようになりました。今後もし家族ができたら,さらに考え方が変わるのでしょう。環境に合わせて対応していきたいです。
Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ
「知恵を愛し,探し求める人に,知恵は進んで姿を現す」という言葉があります。賢い人にでも,器用な人にでも,センスの良い人にでもないのです。もし,研究をやりたいけど,自分の能力に自信がなくてその一歩が踏み出せないのなら,恐れることはありません。興味のままに,好奇心のままに,わたしたちと一緒に知恵を探す旅に出かけましょう。