笠井 康子

研究は仕事ではなく、自分自身の日常そのもの

笠井 康子

情報通信研究機構 電磁波計測部門
センシング基盤研究室 主任研究員

Q. 学部・大学院での専門

電波天文・分光・物理化学 / 博士(理学) 東京工業大学

Q. 過去の研究履歴(略歴など)

理化学研究所 基礎科学特別研究員: 超伝導ヘリウム中の分子分光
情報通信研究機構 研究員: 衛星観測データアルゴリズム開発

Q. 現在の専門分野(仕事の内容)

地球惑星の分光学的リモートセンシング
Superconducting Submillimetre-wave limb emission sounder (SMILES)

Q. この分野に入ったきっかけ

超伝導サブミリ波サウンダSMILESを用い、これまでにない高精度を用いて地球大気を眺めてみたかった。

Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ

これまで人類未踏の地球の姿を発見したその瞬間

Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)

社会的に影響力を持つ年上の男性研究者から公の場で事実とは異なる誹謗中傷を受けていること。
当初は辛かったが、SMILES研究論文がJGR, ACPなどに連続してAcceptされ続けSPARCなどの国際組織からも認められるようになると、自分にも自信がつき、また、国内SMILESチーム、世界の研究者が援護してくれ、今では気にならなくなった。
そのおかげか国際的な委員に多く指名され、精神的にもタフでおおらかになれたと思う。

Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味

SMILES、料理、姪とあそぶこと、運動。SMILESはこれまでデータ処理や検証などで苦労をしたが、今ではSMILESのクセも理解し、これからはSMILES科学にもっと踏み込めるので楽しみである。
また、最近では木星圏探査や大気汚染健康施策のための衛星観測イノベーションサイクルなど、幅が広がってきて、それらを進めるのもこれから楽しみである。

Q. 仕事とプライベート(家庭など)のバランス

研究は仕事ではなく、自分自身の日常そのものだと思っているので、食事をしたり睡眠をしたりと一緒である。
一日の時間は限られているので睡眠を減らしたいのだが、減らすと次の日に集中できないし。。。ジレンマです。

Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ

衛星から地球や惑星を俯瞰的に観測するのは奥が深くすごく面白いですよ!
私は、幼少のころから、「人はどこから来て・どこに行くのか」ずっと疑問に思っていましたが、ほんの少しだけ理解したような気にさせられます。

Q. 民間経験・海外経験

研究においては海外も国内もあまり違いはないように思うが、日本にいると、学会や打ち合わせに行く際に時間と旅費がかかるのが難点である。
博士の学生に海外のポスドクを勧めたところ「研究室には外国から人が頻繁に来るし、研究も世界最先端レベルで国内よりも海外との研究交流がメインであるし、しょっちゅう外国に行かされるし、ポスドクで海外に行く必要がないです」と言っていたが、今の世の中では確かにそんなものかもしれないな、とも思う。