「自分の勉強してきた部分を少しでも思い出して」
Q. 学部・大学院での専門
流体力学, 物理, 数値シミュレーション / お茶の水女子大学理学部物理学科・お茶の水女子大学大学院人間文化研究科 数理・情報科学専攻, 理学修士(お茶の水女子大学)
Q. 過去の研究履歴(略歴など)
全日本空輸株式会社に入社し、国内及び海外空港にて日々の航空機運航における国内・国際便の運航支援業務を担当。運航管理者資格保有。
国内外の航空局との調整業務や航法に関する方針・基準などの策定業務、新規路線就航における現地管制との事前調整、パイロット規程類の電子化導入等に従事。
ANAホールディングス株式会社に出向し、ANAグループにおける宇宙領域の新規ビジネスの推進。
Q. 現在の専門分野(仕事の内容)
航空輸送産業が宇宙領域と掛け合わされることによる新たな価値創造を目指し、ANAグループにおける宇宙関連ビジネスの展開、拡大を目的とし、既存のグループアセットを活用し競争力を得られる「宇宙総合商社」、「衛星情報サービス」、「宇宙輸送機オペレーター」の領域から事業検討を進めています。
その中で「衛星情報サービス」においては、航空事業とも密接な気象に重点を置き取り組んでおり、衛星データと航空機データを掛け合せ航空機運航の環境負荷を低減するための衛星データの活用や衛星の技術と航空機を活用した新たなソリューション提供を目指し、JAXAや慶應義塾大学などとともに共同研究を実施しています。
(例:衛星・気象データを活用し乱気流をAIで予測する取組み、衛星技術を用いて航空機から温室効果ガスをリモート観測する取組みなど)
Q. この分野に入ったきっかけ
元々航空機運航に長年携わり、安全運航や燃料削減の観点から気象データを利用してきました。
ただ、航空業界として今ある気象データを利用するだけでなく、自ら保有しているデータと気象データを組み合わせることで事業価値を高めることのできる新たな価値としての気象データを生み出せるのではないかと考え参入しました。
Q. 現在の研究(仕事)の魅力やおもしろさ
・今までエアライン業界として活用していなかったリソース(データや空間)を活用することで新たな価値創造につながる点
・航空業界に限らず、他の業種でも利用の可能性が広がる点
・普段触れ合うことのない研究者と未来に向けた会話ができる点
・普段課題に感じていることを相談しながら解決に向けて同じ思いで活動していくことができる点
Q. これまで研究(仕事)をしていて辛かったこと(解決策なども)
課題やトラブルが発生した際は辛いと思わずに課題が生じたらそれを乗り越える過程を楽しむようにしている+ポジティブ+記憶力があまり良くない人間のため、仕事をしていて辛かったという記憶がなく、回答に困っておりますが、強いて取り上げるなら、会社から研究開発のための予算が承認されない時はとても困り、外部の補助金を探し、少しでも可能性があるものに応募していきました。
Q. 研究(仕事)以外の楽しみや趣味
ねこと遊ぶこと、ダイビング、レザークラフト、青い空を眺めること、飛行機の窓から外を見ること
Q. 進路選択を控えた大学生、大学院生へのメッセージ
大学時代は流体力学のプログラミングを専攻していましたが、航空業界の総合職としてANAに入社後は航空機運航をサポートする業務に携わり、大学時代の知識は全く活用していませんでした。
ただ、ふと昔の知識を思い出し、慶應大学の宮本先生と共同研究を開始したことがきっかけで、気象と航空機データとAIを組み合わせることで新たな価値を創造することができました。
他の産業でも、気象と他産業が持つデータを組み合わせることで新たな価値を生み出せる可能性が大いにあると認識しています。進路によって民間企業への就職をする方もいると思いますが、業務に携わる中で自分の勉強してきた部分を少しでも思い出して組み合わせてみたら新たな価値が生まれるかもしれません。皆様の将来を楽しみにしています。